内容説明
感受性を全開にして読んでもらえば、おのずから分かる――。ブラックユーモア、思いがけない結末、現実を溶かしていく夢の世界。短篇の名手による、研ぎ澄まされたミクロコスモス。一九六一年の「肥った客」から八二年の「夢の車輪」連作まで、掌篇五十篇を年代順に初集成。文庫オリジナル。〈解説〉荒川洋治
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ももや
3
せいぜい原稿用紙10枚くらいまでの、掌編ばかりを執筆した時代順に並べた作品集。統一感はあまりなし。夢の話が多く、脚色したりせずにそのまんまを描いているイメージ。東京駅構内の本屋で見つけて、なんでこんな地味な本がこんなにぎやかな本屋の平台に並んでいるんだろう、と感じて入手。購入後著者来歴を見て発見、今年生誕100年だ。なかなかやるな、ブックコンパス2024/02/27
OHNO Hiroshi
2
ここに収められた「眼鏡の女」が使用した物とは、違います。2024/02/24
あーしぇ
1
読了記録(2024/4/15) 吉行淳之介の50の掌篇を収めた作品集。湿り気の高い夢を題材として扱ったものが多く、個々の作品としての完成度もさすがに高い。作品の制作年代順に並べたオムニバスではあるものの、この本全体を通して(文庫オリジナル編集ではあるが)、妄想溢れる大きなひとつの邯鄲の夢のようにも感じる。 個人的にはややグロい「あいびき」とかが好きかなー。2024/04/15
な
0
夢の中の雰囲気と、人と人が必ず離れてしまうこととにたいしての、そこまで切実ではない、受け入れつつの寂しさや無力感が合わさって、漠然とした物悲しさを構成していたような気がする。それでもちょっとしたセリフのユーモアが前向きになっていた。女性に対しての思い込みや隔絶を理解させられる赤い崖が特に好きだった。2024/03/28