内容説明
英雄は勇ましく猛々しい・・ってホンマ? 本書は、日本の歴史、文化史をつらぬく「女になった英雄像」へ迫るものである。大日本帝国海軍にまで、女装の文化は伝えられていたという。著者のまなざしは現代の性別越境者にも向けられる。なぜ英雄は「美女」でないと困るのか? 文献史料や風俗画、古写真を博捜した著者が、日本人の隠れた精神性を描き出す。私たちのあこがれの正体をつきとめたいと本書に熱い気持ちを込める井上氏。優雅な文章に図版を収め、見て楽しい読んで学べる一冊にする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
さつき
57
ヤマトタケルや牛若丸など女装する英雄について。筆者曰く中国人留学生はみな女になりすましてだましうちなんて英雄のすることではない、と言うとか。確かに卑怯な行いなんだろうけど、あまりにも有名な神話で疑問に思ったことがなかった。戦前の小学3年の国語の教科書には女装してクマソタケルを殺すヤマトタケルの姿が挿絵付きで載っていたらしく、その刷り込みもあるのか戦時中は兵士による女装が壮行会や演芸会でさかんに行われたし、海軍の作戦としても用いられたそう。歌舞伎の隆盛にも見られるように異性装が好きな国民性があるのかな。2026/02/04
kenitirokikuti
13
ヤマトタケルの女装ってどうよというお話。改めてこのお題を突きつけられると、ハッとなった。井上せんせが外国人留学生(中国・女)に女装して熊襲を討つエピソードを紹介すると、全く英雄らしからぬと大いに不評なのだそうだ。我々にとっては所与のものなので深く疑問に感じていなかったが、確かに英雄のエピソードかと言われたら変だな。も少し追求したい2024/05/06
skr-shower
2
取り止めのない、どこへ話を持っていきたいか少し判りづらい。日本での常識は明治維新と昭和の敗戦で様変わりしているので、こうであったとは論じにくい事は確かかも。子供心にも女装して敵を討ち取る騙し討ちは、洋の東西を問わず卑怯とは言わず作戦になるのかと不思議にはしていた。2024/04/27
小谷野敦
2
著者から送られてきたので苦労して読んだが、だいたい何が言いたくて書いているのか分からない上、「のべそえておく」という井上式の引き延ばし文章だからつらい。最後まで読んでやっと、女装は女装として素直に受け止めろ、余計な解釈はするなという意味だと分かったが、そんなことは60枚くらいの論文でもいえることで、しかも大した論旨ではない。最後のほうで三橋順子なんか推薦しているところを見るとトランスジェンダリズムに媚びたムーブメントに過ぎないのかと思いつつ、2024/03/07
Humbaba
1
起こった出来事はたった一つであっても、それが記録に残された時点で記録を残した人の恣意が入り込む。本人としては悪意なく起こったことをそのまま記録しているつもりだったとしても、恣意は完全には廃せない。また、時代が下るにつれて様々な解釈がなされるようになり、一つの方向性を持つようになる。なぜそれが起きたのかということを読み解いていくこともまた楽しみの一つと言えるだろう。2024/09/09
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