内容説明
北海道浦河町で生産牧場を営む三上収、三上徹の親子。
パリ・ロンシャン競馬場で開催される世界最高峰の「凱旋門賞」の舞台で力を発揮できるのは、ステイゴールドの血統に違いない――と確信していた。
そう結論づけた収はその産駒であり、かつて凱旋門賞で二着となったナカヤマフェスタの種付けを続けていた。そうして収が自信を持って作り出した仔馬は、調教師・児玉健司の目に留まり、将来の可能性を信じた馬主の小森達之助に引き取られることに。
二歳となりカムナビと名付けられたかつての仔馬は、美浦の児玉厩舎に引き取られ、その気性の荒さから厩務員である小田島雅彦らに手を焼かせていた。
一進一退しながらも着々と結果を残していくカムナビ。
目指すは、日本競馬界の悲願である凱旋門賞制覇。
生産者、厩務員、調教師、馬主、ジョッキー……ホースマンたちの夢を一頭の競走馬に懸けた熱き物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
530
『黄金旅程』から少し間が空いた馳競馬小説。新作が出ていたので、この際一気に、と購入。『黄金旅程』との違いは、向こうは馬一頭と人間一人が明確に主人公の立場だったのに対して、こちらはカムナビこそが唯一の主人公で、関わる人間たちは群像劇のように描かれている点。どちらが優れているという問題ではないが、読み口はかなり変わっている。凱旋門賞で走るという、広げた風呂敷の大きさのせいもあり、なんとなくレースの結果が想像ついてしまうのは難点だが、そこに至るまでの胸熱展開がぎっしり盛り込まれており、楽しい読書だった。2025/06/12
starbro
227
馳 星周は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。 著者の興味は、サラブレッド&歴史に移っている気がします。 何時か、パリ・ロンシャン競馬場にて、日本産馬が「凱旋門賞」を勝つレースを観戦してみたい🏇🏇🏇 https://www.bungei.shueisha.co.jp/shinkan/festa/2024/03/16
昼寝ねこ
134
日高の弱小牧場に生まれた期待薄の競走馬カムナビが中央競馬の大舞台で活躍する競馬ファンの夢が詰まった物語。フィクションだが祖父(ステイゴールド)や父(ナカヤマフェスタ)は実在の競走馬。血統は悪くないが祖父や父の癖馬ぶりを受け継いだ暴れ馬を、関わった人たちが愛情を注いで大切に育てていく。日本のG1レースからフランスの凱旋門賞に挑むカムナビ。すべての人たちの夢を背負ってサラブレッドが疾走する。ちょっと出来過ぎだが夢なのだから素直に感動すればいい。更にその夢が次の世代に繋がっていくエンディングもとても良かった。2025/04/08
佐藤(Sato19601027)
116
馳先生の競馬への愛、ステイゴールドへの愛が溢れる競走馬と競馬関係者の成長物語。舞台は世界最高峰の一つでパリロンシャン競馬場で10月初めに開催される凱旋門賞。この小説の中でも紹介されているように、日本調教馬は、1999年エルコンドルパサー、2010年ナカヤマフェスタ、2012年と2013年オルフェーヴルの2着が最高順位だ。ナカヤマフェスタ産駒で筋骨隆々としたトモの張りと荒い気性を父親から受け継いで生まれたカムナビに運命が託される。これだけでもワクワクするのに迫力あるレースシーンにもう感動と興奮が止まらない。2024/03/09
はにこ
110
ステイゴールド好きな馳さんらしい作品。前作の競馬ものはちょっと残念だったけど、こっちは最高。ナカヤマフェスタの子供が凱旋門に挑戦する話。荒馬担当ジョッキーが池添騎手とかぶった。(池添はもっとすごいジョッキーだけど)オルフェーヴルの産駒も気性が荒いのが多いけど、ナカヤマフェスタの産駒もなのかな。バビットも逃げ馬だしな。重賞ウィナーがバビットしか居ないからカムナビのような馬が出てきてくれたら嬉しいな。今年の凱旋門が楽しみだ。2024/04/03
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