内容説明
東日本大震災の癒されえぬ傷痕、そのうえを流れた時間はいったいなにを残したのか。東北のひとびとがいま語ること、その地でこだまする声に耳を澄ます、文学とノンフィクションの臨界点。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
彼岸花
31
東日本大震災から本日で14年が経過した。いとうせいこうさんが東北各地(東京も含む)17名からの聞き取りを行ったモノローグだ。大変な作業であっただろう。マスコミ関係者も登場するが、ほとんどが一般の被災者だ。あの日を境に、生き方や考え方がどう変化したのか、心の内を述べている。津波の話は当時に引き戻され、涙が溢れてきた。私は未だ、その映像を直視できないでいる。「海は人を殺しもするが生かしもする」の言葉は重いが、真摯に向き合っていかなければならない。ひとりひとりに寄り添った支援がなされていない現実が悲しい。⇒2025/03/11
ベル@bell-zou
27
小学生だった。消防団で。アナウンサーで。新聞記者で。10年以上経ち振り返るあの日からの出来事。時にその言葉は不器用で拙くて。でも伝わる。後悔や辛さと虚しさ。やるせない思い。過去の災害に生かされたこと。次世代に伝えるべき教訓。その語りはこうして残すことの意味を深く考えさせる。あの凍える夜と美しい星空を思い出すにつけ寒く厳しい日々を過ごされているであろう能登へと祈らずにはいられない。あのとき、東北はもうダメかも…と思った私たちの今が、あなたたちの10年後なのです、と。どうか、生きて。生き抜いてください、と。2024/03/09
ichi
10
【図書館本】東日本大震災から13年経ったからこそ言える当事者や関わった人たちのノンフィクションエピソード。中でも3・11の時のラジオアナウンサーのエピソードが心に強く残りました。2024/10/20
チェアー
8
それぞれの人の話を聞いて、共通するのは悲しみではない。怒りだ。怒っていないように見える人も、心の隅っこに怒りがあるように思える。 被災地以外の人々への怒り、政府への怒り、原発をコントロールできなかった東京電力への怒り、そして大切な人を救えなかった自分への怒り。忘れた方が楽なのに忘れるわけにはいかない。 歴史の主役はこうした人々だ。 2024/04/08
ゴロチビ
4
「福島モノローグ」を読んだからには読まねばと。十年を経たからこその声だ。人数が倍になっている。半分位過ぎた頃、自分の中に被害の軽重を比べるみたいな感覚が現れてショックを受ける。人間の幸も不幸も、比べる事など出来ないのに。この人の、この本の中での位置づけは何だろう?とつい、考えてしまったり。立場で話してる部分もあるのかなぁとか。最終的には、この15人の方達を通して見えてくる震災の傷跡には違いないのだが。a volunteer、a folkloristが記憶に残った。復興は結局、元々の地域力に依る所大なのか?2024/04/15
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