内容説明
平安初期に景戒によって善悪、奇跡や怪異などを描いた最古の説話集「日本霊異記」と、鎌倉初期の鴨長明による仏教説話「発心集」。古典新訳に定評のある詩人・伊藤比呂美が両作品から厳選、渾身の新訳。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
nobi
55
「日本霊異記」:雷は生き物の如く、蟹は仇を取ってくれるというヴィジュアルな世界と、魚やうさぎの殺生も母親や子への冷たい仕打ちもその報いを受け、あるいはきよらかでただしい生活をしていれば菩薩にもなる、という因果応報の世界が広がっている。その無邪気な話に比べて「発心集」はなんてどろどろした話。極楽浄土希うとは言え、邪念断たんがためにそこまでする?食べ物を断つは序の口、水瓶が気になると割り、梅の木は根元から切り落とす、身燈や入海も辞さない。でも「仏のみ心は、信心するものを裏切らない」との長明の信念は揺るがない。2025/10/27
やま
16
日本霊異記を読みたいと思っていたところ、河出文庫にあったので購入。しかし、ふつうは3冊あるよなあ、薄いなあと思ったら、抜粋版だった。◇なんか訳が直接的だけど、そうやって書かれていたのだろうね。おおらかというか、面白い。◇発心集を読むと、「うーむ、やはり煩悩が多い」ということに気が付かされる。自分にある嫌な性格とかが見えてきて反省中。そういう意味でも、たまに読むとよいかもしれない。2024/08/09
こちょうのユメ
12
伊藤比呂美の訳は、古い仏教説話をアーバンな都市伝説へと蘇らせたようだ。平安初期の『霊異記』のプリミティブなファンタジーと、仏教がまだ一般民間人に普及していない時代のムキ出しのデカダンスな通俗性が面白い。性や暴力に対し素朴で猟奇的だという訳者の言葉どおりだ。鎌倉初期の『発心集』になると、仏教ニューウェーブの台頭によって浄土宗的な救済志向がにじみ出て説教くさくなる。ともあれ二つの説話集に共通しているのは人間は皆、セックスが大好きだということだ。2025/12/28
fseigojp
9
詩人の訳した霊異記 ファンタジーでよかった 2025/03/22
京橋ハナコ
4
共に仏教説話集の抜粋。これを読んで信心するほど心がきれいでないのだが、そうだなと納得する部分もあり。「善にそむくわけでもないが、悪を離れるわけでもない」全くその通り。2025/03/23
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