文春e-book<br> 鬼の筆 戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折

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文春e-book
鬼の筆 戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折

  • 著者名:春日太一【著】
  • 価格 ¥2,600(本体¥2,364)
  • 文藝春秋(2024/02発売)
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  • ポイント 690pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784163917009

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内容説明

”全身脚本家”驚愕の真実!

『羅生門』、『七人の侍』、『私は貝になりたい』、『白い巨塔』、『日本のいちばん長い日』、『日本沈没』、『砂の器』、『八甲田山』、『八つ墓村』、『幻の湖』など、歴史的傑作、怪作のシナリオを生み出した、日本を代表する脚本家・橋本忍の決定版評伝。
著者が生前に行った十数時間にわたるインタビューと、関係者への取材、創作ノートをはじめ遺族から譲り受けた膨大な資料をもとに、その破天荒な映画人の「真実」に迫る。

目次
序 鬼の詩
一 山の章
二 藪の章 『羅生門』
三 明の章 『生きる』『七人の侍』
四 離の章 『蜘蛛巣城』『夜の鼓』『女殺し油地獄』『風林火山』
五 裁の章 『真昼の暗黒』『私は貝になりたい』
六 冴の章 『切腹』『仇討』『侍』『日本のいちばん長い日』『上意討ち』『首』
七 血の章 『張込み』『ゼロの焦点』『人斬り』『黒い画集 あるサラリーマンの証言』『砂の器』
《特別インタビュー》山田洋次の語る、師・橋本忍との日々
八 計の章 『人間革命』
九 雪の章 『八甲田山』
十 犬の章 『八つ墓村』『幻の湖』
十一 鬼の章 『愛の陽炎』『旅路 村でいちばんの首吊りの木』『鉄砲とキリスト』『天武の夢』
橋本忍 脚本映画一覧

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

123
戦争や武士道、権力抗争に組織など、橋本忍は日本社会の不条理と戦って敗れる群像を描く社会派の脚本を書かせては右に出る者はいなかった。しかし当人には政治批判の意識はなく、金と名誉と競輪が大好きで、プロダクション経営や著作権問題で高い見識を持つ矛盾の塊だった。それでも戦後最大の脚本家とされたのは、原作をろくに読まずとも「生血」を抽出し、隙のない構成で運命に翻弄される人びとのドラマを組み立てる強引な腕力があったからだ。父子の旅や吹雪に埋もれる兵士、大名家に反逆する浪人らの姿は映画ファンの記憶から消えることはない。2024/01/12

kaoru

71
日本一の脚本家と呼ばれ2018年に百歳で逝去した橋本忍。『七人の侍』『砂の器』『切腹』『八甲田山』等日本映画史に残る傑作の脚本を書いた巨匠を12年かけて取材した著。興行師を父に持ち、文楽を愛し、経理畑出身の数字を重んじる合理性がありつつ競輪にのめり込むギャンブル好きという側面も。「映画というのは内側にある強烈な流れが直線方向に進む傾向がある」宣伝にも緻密な作戦を立て、手がけた作品がことごとくヒットした黄金時代。しかし監督にも挑んだ前衛的な『幻の湖』が失敗に終わり,彼の感覚は次第に時代から乖離していく。2024/03/24

ヒデキ

49
476ページを3日間で読んでしまった。 ある意味もったいなかったかもしれません 以前から、春日さんが、橋本忍さんについての著作が、なかったのが、不思議でしたので、予約買いしてしまいました 橋本忍さんは、傑作を書くシナリオライターであり、優秀なプロダクション経営者であっても、優秀な監督(ディレクター)であることはなかったという酷な事実もありました 「幻の湖」色々と言われている作品ですが、そうなってしまったのは、橋本氏の「老い」による部分もあったのかな? 2023/12/26

ぐうぐう

43
サブタイトルにあるように、橋本忍を戦後最大の脚本家と呼ぶことに異論のある者はいないだろう。それほどに橋本の功績は大きい。『羅生門』がビギナーズラックではないことが、その後の黒澤明映画への貢献でも充分に理解できるし、さらに『砂の器』をはじめとする松本清張原作の脚色において橋本の才能が見事に発揮され、『日本沈没』『八甲田山』といった単独の脚本で大ヒットを飛ばすに至って、彼の評価は不動のものになっていく。本書で何度も指摘されているように、橋本の脚本の最大の魅力は、その構成力にある。(つづく)2023/12/18

道楽モン

36
筆者渾身の一作。映画愛好家は一食抜いてでも買うべし。なにより戦後邦画界を支えた大御所脚本家、橋本忍である。彼が関わった作品の逸話や人々との繋がり、裏話や制作意図、戦略など、遺品から発掘された資料を駆使してまとめられた、春日太一による聞き書きが面白くない訳がない。もう食い入るように読んでしまった。映画好きなら知っている壮大な失敗作『幻の湖』に至る背景も興味深いが、伊丹万作、黒澤明、野村芳太郎、山田洋次という監督たちとの関わりに納得。優れた才能は、個人的な内面から生まれ、関わる人々の涵養を得て開花するのだ。2023/12/23

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