内容説明
「首が折れるような,背骨が折れるような,未経験の重い痛みで,ごきぼきっと腰以外の部分が布団に押しつけられた.そして高熱が皮膚から体の中に流れ込んできた」.芥川賞作家が十代から苦しんだ痛みと消耗は十万人に数人の難病だった.突然襲われた劇症,病と「同行二人」の半生を描いた野間文芸賞受賞作待望の文庫化.
目次
未闘病記 膠原病,「混合性結合組織病」の
日本慢性看護学会講演録
膠原病を生き抜こう――生涯の敵とともに
岩波現代文庫版後書き
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
8
読むのが辛くなる小説。究極の私小説。嘗ては結核小説が多かったが、現代は膠原病など免疫疾患の闘病が浮上してきた。文学(小説)化するのは難しかっただろうとは、ど素人の吾輩も想像される。名作とはいいたくないが、瞠目すべき作品だろう。2024/04/05
夏しい子
1
笙野頼子さんの本はこれが初読み。なので、今まで読まずに持っていたイメージが全然違った。 口語文で書かれているが、かなりぐだけた語りになっている。 そしてとても痛かったり辛そうなのに、そんな自分の身体を『日常』として受けいてれいるのが凄いなと感じた。 しかもそれを一人で暮らしているのに、そのことに対する不安が全く感じられなくて、一人暮らしに慣れているからと言っちゃえばそれまでなんだけど、一人の責任と強さも合わせて感じた一冊だった。2024/03/25