「論理的思考」の文化的基盤 - 4つの思考表現スタイル

個数:1
紙書籍版価格
¥4,950
  • 電子書籍
  • Reader

「論理的思考」の文化的基盤 - 4つの思考表現スタイル

  • 著者名:渡邉雅子
  • 価格 ¥4,950(本体¥4,500)
  • 岩波書店(2024/02発売)
  • ポイント 45pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784000026093

ファイル: /

内容説明

普遍的であるはずの「論理」と「合理性」.それは文化によって大きく異なり「価値観」とつながる.「文化の多様性」という言葉に逃げ込まず,それぞれ4つの原理を代表する日本・アメリカ・フランス・イランの思考表現スタイルから4タイプの論理と合理性を明らかにする.ポスト近代を生き抜く知恵となる比較文化論の集大成.

目次

序章 論理と合理性,能力の文化的基盤
1 小論文に見る文化の衝突
2 思考表現スタイル──文化に根ざした論理と推論の型
3 学校の役割──主流文化の伝達
4 四つの領域と四つの教育原理
5 本書の構成
6 開かれたローカルな世界を生きるために
第一部 教育文化のモデルの構築
第1章 〈論理〉と〈合理性〉の起源と類型──教育のメタ機能
1 文化の位置づけ──個人と制度,社会,文化のつながり
2 論理と推論の社会的起源──デュルケムの知識社会学と集合的認知
3 集団間の衝突はなぜ起きるのか──ウェーバーの合理性と合理的行為の理念型
4 ルーマンの社会システム理論における〈論理〉と〈合理性〉──ポスト近代の視点
第2章 教育文化のモデル
1 教育原理の四類型──教育の目的と手段
2 調査対象と方法
第二部 四つの教育原理と四カ国の思考表現スタイル
第3章 経済原理──アメリカ
1 エッセイの論理と思考法
2 エッセイの歴史的起源と発展
3 エッセイの教育──型による目的論的思考法の教育
4 個性とイノベーション──作文教育のもう一つの側面
5 歴史教育に見る合理性と合理的行為──逆向き因果律と時空間の把握
6 アメリカの能力観──効率性・戦略性・目的論的思考と階層化された能力
7 アメリカにおける能力観の変遷──伝統的教育からの分化
8 小括──アメリカの思考表現スタイル
第4章 政治原理──フランス
1 ディセルタシオンの論理と思考法
2 政治原理に照らしたディセルタシオンの特徴
3 ディセルタシオンを目指した言葉と思考の教育──教育のグランド・デザイン
4 歴史教育に見る合理性と合理的行為──俯瞰の視点と共通の価値の追求
5 フランスの能力観──教養を背景にした言語技術と価値観
6 小括──フランスの思考表現スタイル
第5章 法技術原理──イラン
1 イランの学校作文「エンシャー」の論理と思考法
2 イランの作文教育──ことわざと詩の役割
3 歴史教育に見る合理性と合理的行為──循環する時間と不変の因果による類推
4 イランの能力観
5 小括──イランの思考表現スタイル
第6章 社会原理──日本
1 感想文の歴史的背景と社会的機能
2 感想文の論理と思考法
3 感想文の特徴と機能──多様な価値の受容と共通感覚の育成
4 日本における論証文──意見文と小論文
5 日本の書く教育の全体像──主観から間主観へ
6 歴史教育に見る合理性と合理的行為──変化する状況と縁起の思考
7 日本の能力観
8 小括──日本の思考表現スタイル
第三部 教育文化の四元モデルから見えるもの
第7章 四つの納得の構造──論理と合理性,能力の体系的な比較
1 四つの原理と四つの納得の構造──論理性を超えて
2 論理/非論理,納得/不服を分けるもの
3 四つの時間構造・因果律と推論の型
4 合理性を超えて──推論の型と意味ある行為・価値ある行為
終 章 教育文化の四元モデルから見る日本の立ち位置
1 調査から得られた知見
2 理論的,方法論的,実証的貢献
3 思考表現スタイル──論理/非論理,合理/非合理,優劣を分けるもの
4 日本の立ち位置──ポスト近代の世界で
あとがき
資料
引用・参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

coffee

40
論理性は万能ではなくあくまで1てのツールだと、自分の中で曖昧にしていたものがクリアになった感覚。 また自分は改めて日本型の思考なのだとも再認識した。 一方でビジネスにおいて、特に合意形成や交渉の場においては、アメリカ型の論法は非常に有効だということも理解できた。2025/01/25

kan

33
めちゃめちゃ面白かった!自分の迷いの理由が全て分析されていた。教育の目的をどこにおくのか。求められる論理性や書き方になぜ違いがあるのか。前提となる教養の基盤は何か。外国語教育の数々のモヤモヤは、教育哲学を明確に示すことが解消のヒントになりそう。米国式の合理主義的な教育観と、日本式の価値と共感に重きを置くスタイルの食い合わせの悪さよ。英語エッセイが論理的な訳ではなく、テンプレートと割り切ろう。フランスの書き方と教育哲学には憧れるし、イランのエンシャーも美しく、神に収斂されるのも興味深い。勉強になった!2024/11/08

neputa

27
「結論から述べよ」「論理的思考を身につけよ」。社会、特にビジネスの場面でこうした言葉をよく耳にする。この「論理」は世界共通、普遍的なものと思っていた。最初に結論を示すのは、それが最も合理的で優れた手法だからと信じて疑わなかった。本書を読むまでは。論理は多様であり、それは文化基盤に深く関係し、「作文教育」と「歴史教育」によって形成される。著者はアメリカ、フランス、イラン、日本の作文と歴史教育を比較分析し、各国の思考表現スタイルが異なる実態を浮き彫りにする。35年の年月をかけた著者の研究に魂を揺さぶられた。2025/10/23

戸部アンソン

26
カントの純粋理性批判が読めず、作文構成が違うのだろう、どう違うかをこれで知ろうしました。確かに文化圏により合理的思考のパターンと表記方法が違う。とても面白い論文でした。この文化の違いを知ることで海外作者作品理解に役立つとは思いました。依然カントはわからん!ですが2025/05/12

魚京童!

21
フランスの話が苦手なのは思考の型が違うからだな。面白いとも思わないからな。ロシア語もよくわからない。でも東洋はなんとなくわかるし、セム語がよくわからない。わからないことばかりだ。4行詩とか、575とかいうけど、きっと慣れているから好きになる。好きだから慣れるのかもしれない。思考の型を合わせてあげる必要がある。2025/01/03

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/21527123
  • ご注意事項

最近チェックした商品