内容説明
「ローマは一日にして成らず」――史上最も繁栄した大国,ローマ帝国は,どのようにしてでき,そして滅んだか.その広大な領域支配を可能にしたシステムとは? トロイア戦争に始まる建国神話,勇将ハンニバルとの戦い,カエサルのルビコン渡河,暴君ネロの圧政など,エピソード豊富に古代ローマ帝国の栄光の歴史を描きます.
目次
はじめに――なぜいま“ローマ帝国”なのか
I ローマ帝国ができるまで――建国物語と覇権確立までの道のり
II ローマ帝国の成立――アウグストゥスの時代
III 帝国の発展と充実――皇帝たちの饗宴
IV 人類史上もっとも平和な時代――五賢帝の統治
V 帝国の混迷と解体――なぜローマ帝国は滅びたのか
年表
さくいん
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おおた
22
分裂する前のローマ帝国については教科書程度にしか触れていないため、まずは新書で。ギボン『ローマ帝国衰亡史』は(特に翻訳の文体がすてき)は短い人生にはちょっとね。興味深いのは当初軍隊は常備されてなく、戦争ごとに徴兵があったこと。でも、ネロちゃまの頃には親衛隊があったので、FGOの描写はまちがってない。あとは食糧事情。ローマ近辺で小麦が採れないので遠方から舟で運ばなければならず、そのために港を作ったとか。当時は生きてるだけで食料がもらえて、少なかったら暴動が起きる時代、治めるのは大変そう。2021/02/25
ふみすむ
17
建国から東西分裂までの古代ローマ史を通観できる。共和政やアウグストゥスからネロまでの時代には多くページを割いているが、五賢帝の時代はかなり早足で済まされていた。もっとも、五賢帝を単体で扱った新書は別にあるから、通史の入門書としては十分な内容だろう。史実の羅列で完結せず、随所で異なった角度からローマを論じているので飽きずに読めた。例えば、被解放奴隷は専門的な知識や技術に優れていれば要職を与えられるが、クラウディウスの治世では被解放奴隷が官房長官や財務長官として実権を握るほどの実力主義が徹底していたなど。2015/06/10
たみ
10
紀元前1184年頃のトロイア戦争の生き残り:アエネアスの子孫がローマを建国した(伝承)ことから始まるローマ解説本。都市構造、偉人達の政治手腕も紹介。領土拡大でヘレニズム文化と融合したりの後、内部分裂の危機にカエサル台頭。権力集中が反発を招き暗殺「お前もか」される:紀元44年→オクタウィアヌス:尊称アウグストゥスが初代皇帝に→なんやかんや→ネロ帝→五賢帝(まんがテルマエ・ロマエの時代)→コンスタンティヌスがキリスト教を公認→395年東西分裂。※本はもっと誠実です。アウグストゥスと側近達が印象的。年表・索引付2014/10/16
じょあん
9
タイトルは「ローマ帝国」だが、起源から帝政以前も扱われている。簡潔明瞭な文体で、分かりやすくローマの歴史が西ローマの滅亡まで描かれている。「ジュニア新書」と銘打っているが、大人の入門用としても十分。ただ、門閥派と民衆派といった書き方やマリウスの兵制改革についての記述は、昨今見方が改まってきているので、注意が必要。2023/10/17
まえぞう
8
寝る前に少しずつ、久しぶりに読み返しました。ジュニア向けなので優しく書いてありますが、内容はしっかりしていると思います。ただし、題名はローマ帝国ですが、初代皇帝のアウグストゥスまででほとんどが終わりです。滅びゆくローマも味わうなら、ギボンのローマ帝国衰亡史も必要でしょうか。2017/05/08