内容説明
青い波が打ち寄せる浜辺にぽつりと佇む小屋は、料理上手なネコシェフの店。ここに辿り着くのは、仕事や恋愛、子育てなどに悩み「現実から逃げ出したい」と切実に願う人ばかり。マイペースで饒舌なシェフは、旬の魚を使い腕をふるう。ホッキ貝のチャウダー、土鍋で炊いた鯛めし、タルタルたっぷりアジフライ――美味しい料理にほぐれた心の中にある本音に向き合った時、小さな一歩を踏み出せる。疲れた心にそっと寄り添う物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
mae.dat
277
清々しい程に吹っ切れたねこねこファンタジー&夢オチを添えて。標野さんの真骨頂ですね。5章立て短篇+エピローグ。人にはそれぞれの生活に於いて悩みや問題を抱える物ですが、そうした人たちの前に現れる二足歩行ザバトラ柄ねこシェフ。海の幸と名句を携えて。食材や料理の薀蓄(?)と猫の生き様で、抱える問題に対する解決の指針みたいな啓示を与えるのね。でもそれは実は既に自身の中にずっとあったものであるというね。それで人生の在り方を変える切っ掛けとなるのね。考えが凝り固まる事には覚えがありますが、程々が良いのかもね。2025/10/26
しんごろ
217
人は時には悩み、迷うもの。悩みも迷いも人それぞれだ。愚痴りたくなるときもあるよね。今の状況から、ちょっとだけ離れて自分をみてみよう。見つめてみたら、ほらごらん、見事に気づきがないから。でも、そこにネコシェフが現れたら、あら不思議。美味しい料理と共に、心に寄り添い、気づきとまでいかないけれどヒントはくれる。そのヒントを自分で考えて、焦らずゆっくり進めばいいさ。勇気を出して一歩を踏み出せるかは、あなた次第。自分の気持ちと向き合うことの大切さを教えてくれる物語。2024/09/01
mariya926
108
うーん。読書を始めたばかりの時だったらネコの言葉に感銘したかもしれませんが、かなり似たような言葉をたくさん読んでしまっているので…。別に浮気相手の事まで書かなくてもいいのにと、ダークな気持ちになってしまいましたが、書かなかったら平淡な感じになってしまうからかな?人生の節目にネコと出会いそのご飯を食べて乗り越えていきます。ご飯の描写がもっと美味しそうだったらなぁ2024/05/12
シナモン
104
日々の生活に行き詰まった人たちが辿り着く海辺のお店。美味しそうな海の幸のお料理とかわいくてどこか飄々としたネコシェフに心が軽くなる一冊でした。2024/03/14
オセロ
99
うん、良かったですね。 家庭や仕事に悩む女性がふと発した言葉に魚が入っている場合、その魚にまつわる美味しい料理を振る舞ってくれるネコシェフ。魚にまつわるうんちくを語りながら図々しく一緒に料理を食べる姿は不思議と癒されるのは何故だろう。そんな不思議なレストランに訪れたことをキッカケに前を向く女性の姿はいいものですね。2025/10/18




