内容説明
青い波が打ち寄せる浜辺にぽつりと佇む小屋は、料理上手なネコシェフの店。ここに辿り着くのは、仕事や恋愛、子育てなどに悩み「現実から逃げ出したい」と切実に願う人ばかり。マイペースで饒舌なシェフは、旬の魚を使い腕をふるう。ホッキ貝のチャウダー、土鍋で炊いた鯛めし、タルタルたっぷりアジフライ――美味しい料理にほぐれた心の中にある本音に向き合った時、小さな一歩を踏み出せる。疲れた心にそっと寄り添う物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シナモン
97
日々の生活に行き詰まった人たちが辿り着く海辺のお店。美味しそうな海の幸のお料理とかわいくてどこか飄々としたネコシェフに心が軽くなる一冊でした。2024/03/14
ふう
72
自分の生き方に思い悩む人はたくさんいるはず。その悩みを誰かに打ちあけられる人もいるけど、自分だけで抱え込んで下を向いてしまう人もいます。男女に違いはないけど、この作品に登場するのは5人の女性たち。少しずつつながった5話の短編集ですが、どの女性の前にも、料理上手で包容力のあるネコシェフが登場します。心と体がホッとする料理。そしてぶっきらぼうだけど温かい言葉。ネコの言う通り、答えはちゃんと自分の中にあるのかもしれません。聞いてくれる人、そっと背中を押してくれる人がいれば、また歩き出せる。やさしいメッセージです2024/04/09
ぶんこ
44
女子アナになりたかったが出遅れ、花屋さんで働いていて出会った夫と結婚。専業主婦になって40歳の今、夫は不倫、娘は自分の世界に夢中。家庭の中に自分の居場所がない?求人に応募するも不採用。そんな時、気づけば海にいてサバトラの猫シェフにご馳走になる。この猫は飼い猫ではありませんが、飼い猫は悩んでいたり、元気がない時、じっと寄り添って話をきいてくれますよね。この猫ちゃんも皆の悩みを聴き、そっと癒してくれる。千晶さん娘の梨央さん、雛菊さんの3人の話が好きでした。2024/04/24
mayu
25
旦那との関係、恋愛、友達関係、子育て、仕事。日々の生活の中で湧き上がるザラザラした気持ちを抱えた人達の前に突如現れるサバトラ柄の猫チャン。新鮮な魚を使った料理と猫シェフからのアドバイスで悩みへの向き合い方が変わる連作短編集。猫シェフに会ったからといって劇的に環境が変わるわけではないけれど、見え方が変わるだけで前向きになれることを教えてくれる。悩んでいる人に猫の世界を話しながら、そのままで良いんじゃねぇかと声をかける猫シェフがかわいい。他の人からは見えないけど、皆それぞれに悩みがあるよねぇ。2024/03/04
anne@灯れ松明の火
24
新着チェックで予約。標野さん、7冊目だが、これが一番好き! 悩み、落ち込む人の前に、ふっと現れたのは料理上手なネコシェフ。その人の心を読み取ったように、美味しい料理を作り、一緒に食べ、ざっくばらんな話をしながら、その人の本音に気づかせる。連作形式で、「次は誰?」「あの時、この人はこう思っていたのか」とわかる仕掛けも好み。お客たちが、自分の心の声を聞き、自分に正直になり、一歩を踏み出す。いいぞ! ネコシェフ! 猫が怖い私も会ってみたくなるよ(笑) 素敵な表紙絵は絵本作家の庄野ナホコさん♪ 続編希望。2024/04/03