内容説明
ベストセラー『ひと』 『まち』 『いえ』に続く感動の青春譚!
わたしは母を傷つけた。たった一人の肉親を、言葉のナイフで――。
あれから13年、後悔ばかりで大人になった。
でも、孤独に負けずにいられたのは、母の、仲間の、「うた」 があったから。
母がわたしを産んだ歳になった。今、わたしに、湧き出るものがある――。
27歳の古井絹枝には、晴らすことのできない後悔があった。
中学生の頃、地域の合唱団に所属する母に「一緒にうたおうよ」と誘われたものの、撥ねつけてしまったのだ。母が秘めていた想いも知らずに・・・・・・。
大学時代、絹枝はバンドを組んでいた。
ギター担当は伊勢航治郎。バンド解散後もプロを目指したが芽が出ず、だらしない日々を送っていた。
ベース担当は堀岡知哉。バリバリ働く妻がいるが、自分はアルバイトの身で、音楽への未練も僅かにある。
ドラムス担当は永田正道。大学卒業後、父が越えられなかった資格試験の壁に挑もうとするが・・・・・・。
かつての仲間が、次の一歩を踏み出そうとする物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
298
小野寺 史宜は、新作中心に読んでいる作家です。シリーズ第四弾は、学生バンド青春譚連作短編集でした。古井 絹枝という名前は、キラキラネーム全盛の時代、古色蒼然としているかも知れません。 https://www.sun.s-book.net/slib/slib_detail?isbn=97843966365932024/03/14
いつでも母さん
208
『カニザノビー』カタカナの魔法(笑)私は「カニザノエー」だ。元バンドメンバーの解散後のそれからを淡々と隣にいるように読んだ。うたわない・古井絹枝がうたう・古井絹枝のラスト。内から熱くなる、まさに涌く感じが好いなぁ。4人それぞれにちょっとづつ大人になったんだね。そして、帯の言葉のナイフでたった一人の肉親・母を傷つけた。いやいや私などいまだに斬ったり刺したり、抉ったりしてるなぁ・・(汗)2024/03/01
hirokun
180
★4 小野寺史宜さんは好きな作家さんの一人。今回の作品は、元バンドメンバーの連作青春短編集。いつも通りの分かり易い文章で気持ちよく読み進めたが、今回は内容的に少し軽い、薄い?様な感じがし、些か残念な読後感だった。自分の青春時代を思わず振り返っていたが、普段は何にも重大な出来事もなく平々凡々とした青春を送ってきたなと思っているが、この作品に刺激を受けたのか、思わず知らず40・50年前の若かりし時代の諸々の事を思い出していた。2024/03/15
tetsubun1000mg
172
小野寺さんの本は結構読んでいて、読メデータを調べると21冊目になっていた。 本作では登場人物が大学時代に「カニザノビー」というバンドを組んでいて、それぞれのメンバーのその後を描いていることが分かってくる。 「カニザノビー」というバンド名は作家の初期の作品で読んだ記憶が有ったので調べるが、全然違う作品だった。 小野寺作品には時々エリアつながりで他の小説の登場人物が出ることが有るのでそのパターンかと思いこんでいました。 卒業後の仕事や生活は違うのに、相変わらずジンワリとくる読後感は好み。 テンビンザだけどビー2024/04/03
ひさか
158
2024年2月祥伝社刊。大学時代のバンド仲間が登場する5つの話で構成されていて、最初の話がラストにつながっている。あまり共感できず、楽しめなかった。残念。2024/05/11