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内容説明
小都市ローマは、どのように帝国となったのか。共和政の誕生、ハンニバルとの戦争、皇帝の出現。グローバル化と人々の有り様を描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
137
古代ローマの共和政から帝政への移行については塩野七生さんの本でひと通り知っていたが、征服される属州側からの視点は欠けていた。征服地を植民地として地元民を弾圧し退役兵に農地を分配しながら、政治的には一方的な支配構造を変えようとしなかった。小さな都市国家に過ぎなかったローマが周辺を切り従えて領域を拡大しながら、政治制度の固守を望んだのが問題の根源と理解できる。同様の事態は近代の植民地でも見られ、南米やインドの支配体制を思い起こさせた。自らを変革できない国は大きくなれないとは、人類の歴史で繰り返されてきたのだ。2024/06/05
よっち
40
ローマ建国から皇帝誕生まで、最新の知見に基づきローマと属州を生きた人びとの実像を描き、小さな都市国家が地中海を支配するまでを分析する一冊。都市国家ローマがいかにして共和政となったのか、ローマのイタリア支配からの拡大、ポエニ戦争とイベリア半島の抗争と属州化、ローマ化する属州で暮らしていた人びとの選択、ルシタニア戦争とケルトイベリア戦争、マケドニア戦争とカルタゴの属州化、変容していく市民と社会構造、内乱の一世紀からローマ皇帝の出現まで、属州を得たことでローマ社会が変容してゆく構図がなかなか興味深かったですね。2024/03/21
特盛
37
評価3.4/5。塩野版ローマ本を挫折した経験あり。新書で触れるかと手を取る。ローマは元老院が権力を持つ共和制下で拡大し、カルタゴとの抗争を経てシチリア島、スペインやアフリカを初めて属州として手にする。属州と本国の関係のありかたも、皆手探り。やがて属州の存在は本国ローマの政体にも市民の暮らしにも影響を及ぼしていく。共和制下で誕生し「権力の束」を手にした皇帝アウグストゥスまでが本書の一区切り。社会が急速に変化し、広がる世界での様々な混乱という観点で、グローバル化した現代にも通じる人々の営みがある。2025/08/14
サアベドラ
31
ローマがラティウムの都市国家から地中海を囲む帝国へと変質する過程を描いた新書。2024年刊。帝国への契機を単に海外領土である属州を獲得した時期ではなく、属州経営の過程で (大英帝国の非公式帝国のように) 非支配地域にも影響力を行使し始めた時期に置いている。皇帝の誕生は従来の説明通り、属州獲得による社会構造の変化から生じた騒擾、いわゆる「内乱の一世紀」の過程で力のある個人に権力が集中した結果生まれたものとしている。前者は著者の専門の属州史に関わる部分であるため興味深く読めた。2025/07/02
33 kouch
31
世界史を遡れば封建制、独裁政権の嵐かと思いきや、この紀元前に共和制があったことが本当に驚く。そして市民を起点に国が栄えているのも凄い。しかしちっとも理想郷でなく、共和制政治は元老院という集団独裁集団を産んでしまう。彼らの自己保存本能は疑いを生み、血なまぐさい政治戦略、内戦を生じさせる。グラックス兄弟の悲劇がそれをよく表している。結局はカエサルの登場を待つ。ローマ帝国の五賢帝や東西分裂の、以前の世界。キリスト教という大きな別軸が発生する前だから、純粋に政治闘争が繰り広げられ現代にも学ぶものが多い。2024/10/19
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