アフガンの息子たち

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アフガンの息子たち

  • ISBN:9784093567435

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内容説明

難民児童と施設職員の交流を描くYA小説。

 スウェーデンの小さな町にある灰色の建物。高校を出たばかりの「わたし」は、保護者のいない難民児童が暮らす収容施設で働いている。職員は規則と指示に従うことを求められ、帰宅したら仕事のことは考えるなと言われるけれど、アフガニスタンから逃げてきた少年たちと日々接していると、それはとても難しい。「わたし」は、家族と離れ一人で逃げてきた14歳のザーヘルや17歳のアフメド、ハーミドという3人の少年たちと心を通わせるうちに、タリバンへの恐怖やトラウマに苦しむ彼ら、18歳になり施設を出なければならないことを恐れる彼らに寄り添おうとする。
 静かな筆致で難民児童の現実と職員の葛藤を描いた、2021年北欧理事会文学賞(YA&児童部門)受賞作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ナミのママ

70
10代の少年が1人で生まれ育った国を離れ、海外で難民となる。こんな現実知らなかった。スウェーデンの難民児童施設を舞台に3人の少年と若い職員の「わたし」が綴る物語はとても切ない。静かに淡々と書かれたその文章の中に厳しい現実が込められている。18歳になると施設を出なければならないがどこへ行けというのか。それでも彼らは18歳まで生き延びられた。良い本なのに話題になっていなくて残念、もっと読んでほしい。【2021年北欧理事会文学賞(YA&児童書部門)】受賞2024/03/13

星落秋風五丈原

34
スウェーデンの小さな町にある灰色の建物で、高校を出たばかりの「わたし」は、保護者のいない難民児童が暮らす収容施設で働いている。面接の時に、あるシチュエーションを告げられて対応を聞かれた時、「わたし」は、まずどうすればいいか?と聞いて採用される。自己顕示欲がなくていいと思われたという面もあるが、ただ命令に従うイエスマンを望んでいたとも取れる。しかし、少年たちと接するうちに、「わたし」は、ただのイエスマンではいられなくなっていく。2024/04/09

uniemo

18
まだ中高生ぐらいの年齢の子が自分の意志で家族とも別れ母国から逃げていく現実。息子たちという題名からスウェーデンの難民施設で彼らを世話している著者は母親世代かと思って読んでいたらほぼ同世代なことに驚き。北欧の社会事情には興味がありよく読んでいるのですが本作はとてもわかりやすかった。2024/04/02

GO-FEET

4
《フィクションのストーリーテリングを通じて、受賞者はドキュメンタリーのような雰囲気を与え、誰も悪人でも善人でもない現実のイメージを巧みに構築している。(中略)この物語には何の説明も、解決策も、結論も示されていないが、本の表紙(アフガニスタンの息子たちをイメージさせる男性三人の後ろ姿の写真)をはるかに超えて広がる猛烈な告発に発展している。》(北欧理事会文学賞YA&児童書部門の受賞理由) 《私の願いは、答えを提供することではなく、むしろ視点を生み出し、新しい考えへの扉を開くことです。》(著者インタビュー) 2024/04/26

かたばみ

2
スウェーデンの難民児童保護施設で働きはじめたレベッカ。たったひとりでトラウマを抱えながら祖国アフガニスタンから逃げてきた三人の少年とのやりとりが胸を打つ。仕事として線引きをしなければならない葛藤。淡々とした描写だからこそ強く訴えてくるものがある。2024/04/22

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