鋼の絆 ギンイチ消防士・神谷夏美

著者名：五十嵐貴久

祥伝社（2024/02発売）

• ISBN：9784396636562

内容説明

傑作パニック小説『炎の塔』『波濤の城』『命の砦』につながるシリーズ前日譚
精鋭揃いの消防軍団を目指せ！
三カ月間続く地獄の研修に挫折寸前の女消防士が挑む！

近年予想される首都圏直下地震に備えて設立された銀座第一（ギンイチ）消防署。
日本中の精鋭を揃える最強の消防軍団だ。今回、新隊員を選抜するため、全国からエース級の若手30名が3カ月間の研修に招集された。
メンバーのうち女性はふたり。
そのひとりが神谷夏美だった。体力も技能も劣る夏美がなぜ選ばれたのか？
脱落率は91％。一歩間違えれば、自分の命だけでなく仲間の命も奪いかねない極限状態の中、鬼教官の容赦ない訓練についていけない夏美は、研修生たちに一刻も早く辞めろと迫られる。
そんな中、大規模なマンション火災が起こり夏美たちにも出動命令が！

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[青乃108号]

「炎の塔」のみ既読のギンイチシリーズ最新作。続編と思ったら何と前日譚だった。たまげた。熱い。炎もだが物語が熱い。夏美が、田舎の一消防士に過ぎなかった彼女が体力では叶わね屈強の男達に混じりギンイチの一員になる為の地獄の訓練を耐え抜き、実際の火災現場での生死を掛けた研修。ここからの展開が物凄くて仲間との「絆」が涙なくしては読めない。俺は猛烈に感動した。最後の実地試験。最終面接。設問「突然海が荒れ、同乗していた母と恋人が転落した。救えるのは1人。お前はどちらを救うか？」夏美はいかに回答しギンイチに合格したのか。

2025/05/27

[しんたろー]

三部作で完結と言われていた「消防士・神谷夏美シリーズ」の新作が出たので楽しみにしていた。第４弾はエピソード０的な内容で、夏美が日本随一の消防署・ギンイチでの研修＆選抜を描いている。佳作である『炎の塔』や快作の『波濤の城』と比べると物足りなさはあるものの、似て非なるものではあるが映画『海猿』のような青春ドラマ的な匂いもあって充分に満足できた。２回ある火災現場のシーンも三部作ほどのスケールこそないが、臨場感タップリで改めて消防士への尊敬を深めた。第５弾に飛行場や駅などを舞台にして描いてくれることを期待したい♬

2024/03/09

[おしゃべりメガネ]

ギンイチ消防士シリーズ最新刊ですが、話の流れは第１作の前に戻り、エピソード０な位置付になります。主人公の女性消防士「神谷」が『ギンイチ』に配属されるまでが綴られています。過酷な訓練やキツい差別など、なかなかハードかつシリアスな描写はありますが、そこを超えて訓練と実戦で絆が深まっていくメンバーの熱い思いに何度も目頭が熱くなりました。やっぱりこのシリーズ、人を助ける、救う描写になると段違いに感動レベルが爆上がりしますね。１から３作目まで読了済ですが、また再読したくなりました。「神谷」の熱い戦いよ、もう一度。

2024/01/06

[Karl Heintz Schneider]

神谷夏美が一人前の消防士になるまでが描かれているエピソード・ゼロ。他の作品で彼女が大活躍しているのは周知の通り。屈強な男たちの中で技術も体力も劣る彼女がどのようにして日本で有数の激戦区である銀座第一消防署「ギンイチ」のメンバーになれたのか。ギンイチでの研修中、全てにおいて劣っている事実に直面しいたたまれなくなり諦めようと考える夏美。そんな時、近隣で発生した火災現場に研修生も出場することに。その現場で夏美にしかない能力を発揮する。「神谷だけが命の音を聞いたんです。」先輩女性消防官・柳雅代の言葉が心に残った。

2024/01/02

[ma-bo]

ギンイチ(銀座第一消防署）シリーズ第4弾。3部作で完結と認識していたから、最新作？って思っていたけど、遡り主人公神谷夏美がギンイチに配属されるまでの過酷な研修を描く、所謂エピソード0的な位置づけ。夏美が消防士を志す理由、そして体力も経験も劣る神谷夏美はなぜ選抜されたのか、いかにしてギンイチの所属になったのか。容赦ない教官の指導と、チームからの不信感。それでもそこを越え絆が深まり、訓練研修中の火災現場での仲間を信じる心に熱くなる。ここから『炎の塔』をはじめとする三作品に繋がるのか。

2024/05/12