内容説明
帝国陸海軍の作戦行動の指揮・決定権限である統帥権。天皇大権に属し、その「独立」は内閣からの干渉を阻止した。そのため満洲事変以降、陸軍の暴走をもたらした最大の要因とされてきた。しかし近年、通説の見直しが進む。明治政府はなぜ「独立」を必要としたのか。否定論者がいながら、なぜ「独立」は維持されたのか。海軍の役割とは。本書は、軍事の特殊専門意識に着目、明治からアジア・太平洋戦争敗北までの通史を描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ジュンジュン
12
本来、軍が政に関与させない(逆も然り)為だった統帥権の独立が、30年代、軍部の暴走を招き、日本は敗北へと至ったのは何故か?著者は軍の暴走は統帥権の独立に起因するのではなく、軍内部の統制欠如が原因であり、本来別件であった二つが混ざり合い複雑化したとする。統帥権の独立を支えたものは、軍事の事は軍人にしか担えないという「特殊専門意識」だという。この考えが広く認識されていた為、敗戦まで存続したというが…難しかったなあ(苦笑)。2024/04/12
Kelevra Slevin
2
明治維新を迎えて政治・軍事両方を担っていた士族は安定的な秩序維持には危険な存在であるため、非政治的な軍事組織を作り上げる必要があった。そのために考えだされたのが軍事集団が政治領域に侵食しないよう「統帥権」という枠にある種孤立化させるものであった。当初は、西郷従道が郷土のものたちを勝手に台湾に渡らせてしまうことなどがあったが、徐々に安定的な政党政治が作り上げられる中で問題は落ち着いて来たが、満州事変、日中戦争、そして対米開戦という形でそもそも政治と軍事領域はきれいに分けることなどできないという矛盾(1/2)2024/04/29
hyena_no_papa
1
若い頃から耳にしてきた旧軍の統帥権。政府が何か軍事に口を挟むと統帥権の干犯だと騒がれ、結局は軍部の統制が取れなくなってしまう。それがあの破局的大戦争へ突き進んだ大きな要因だと聞いてきたし、そう認識してきた。ではさて統帥権とはなんぞや?素人が首を突っ込むには難しいテーマなんだろうと躊躇しつつも、本書のタイトルに惹かれた。「あとがき」によれば著者が大学の専門科目のために準備したものだという。なので内容的には難しいが、流石に第5章は目を引く。やはり独裁者なき全体主義と言えそうである。巻末の注記・参考文献も豊富。2024/04/30
Cana.t.kazu
1
知りたい情報がなかったのが,残念でした。2024/03/28
onepei
1
思惑とは違うところにハマってしまった感2024/03/17