まぼろしの枇杷の葉蔭で 祖母、葛原妙子の思い出

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まぼろしの枇杷の葉蔭で 祖母、葛原妙子の思い出

  • 著者名:金子冬実【著】
  • 価格 ¥1,650(本体¥1,500)
  • 書肆侃侃房(2024/02発売)
  • ポイント 15pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784863855908

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内容説明

「おばあちゃんとのことについて、色々な人が色々なことを言っているだろう。あれはみんな違うんだよ」

「幻視の女王」とも評された、戦後短歌史を代表する歌人、葛原妙子。彼女には家族にしか見せなかった別の姿があった──。チャーミングで愛おしい、「異形の歌人」の横顔。
子どもの頃、大森の祖母の家に行く時には何か冒険に出かけるような気持ちになった。かつての病院の敷地内にあった、広い平屋住宅。周囲には枇杷の大樹が緑の葉をさかんに茂らせていた。
孫である著者から見た葛原妙子とは──。戦後短歌史を代表する歌人と、その家族の群像がここにある。

【出版社:書肆侃侃房】

【著者】
金子冬実
1968年東京生まれ。旧姓勝畑。早稲田大学大学院で中国史を学んだのち、東京外国語大学大学院にて近現代イスラーム改革思想およびアラブ文化を学ぶ。博士(学術)。1995年より2014年まで慶應義塾高等学校教諭。現在、早稲田大学、東京外国語大学、一橋大学等非常勤講師。1996年、論文「北魏の効甸と『畿上塞囲』──胡族政権による長城建設の意義」により、第15回東方学会賞受賞。

目次

はじめに

大森の家 大森の家/祖母の思い出

祖母の生い立ち 葛原妙子の生い立ち/二枚の写真

軽井沢のこと 軽井沢のこと/眩しき金

朱と咲きいでよ ふたつの雛/朱と咲きいでよ/かけす/酒瓶の花/多?のみづうみ/栗の木はさびしきときに/しずくひとつ、取りさった幸福/切手のこと/素晴らしき人生

室生犀星と祖母 イシのようなひと/畳の上の伊勢えび/實となりてぞ殘れる

まぼろしの枇杷 銀靈/貞香と妙子/祖父の思い出/まぼろしの枇杷

あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

buchipanda3

95
「おばあちゃんはカジンだから…」、という言葉に惹かれて。歌人・葛原妙子の孫である著者が祖母の姿を思い起こしながら、その生涯と人となりを綴ったエッセイ。文章が柔らかく、妙子のことを歌人、そして祖母として優しく敬意を持って描いているのが伝わってきた。外部からは知れない一面なども。でも妙子は裏表のない人だったのだろうなと。それは引用される短歌からも感じられた。長女を想ったというレモンの歌。現実とは違う物語かもだが、そこに込めた気持ちは正直なものと思えた。著者の言う背後のもう一つの目で見た感性をもっと味わいたい。2023/10/06

yumiha

35
「晩夏光おとろへし夕 酢は立てり一本の壜の中にて」の歌が浮かぶ歌人葛原妙子。「幻視の女王」と呼ばれていたように、背後の気配をくっきりと詠んだ歌は、日常の何気ない景色を異世界へ運ぶ。そんな葛原妙子の思い出を孫として筆者が語るのだが、その日常の振る舞いは、女性とか母とか祖母とかのイメージからかなり離れた人物だったと思い知らされた。明治生まれで昭和まで生き抜いた女性としては稀有な人だからこそ、生きるエネルギーのほとんどを注いだ歌も稀有なのだろう。筆者が選んだ歌は、思い出と絡ませたものが多いので、地味だけど。 2025/08/31

rinakko

9
記憶を手繰りよせ思い出を綴りつつ、祖母と祖母にまつわる事柄を、今いる場所から振り返り、あらためて眼差そうとしているのがよかった。「おばあちゃん」らしさのない祖母の、稀有な才能と強烈な個性。美しい歌を生み出すことと引き換えに、何かをあえて切り捨てていたような人柄のこと。追慕の情とともにある、ひやりとした感覚。祖母に名付けられたというエピソードと、その由来探しの章が好きだった(有名なレモンの歌の章も、室生犀星との交流の章も好き)。そして、あとがきにある「和解」という言葉が沁みる。2023/09/14

らくだ

5
幻視の歌を詠むことで現代でもよく知られる歌人・葛原妙子の孫が書く、祖母・葛原妙子についてのエッセイであり伝記的な要素もある本。とても面白くほとんど一気読みだった。葛原妙子は山尾悠子が好み、彼女が好む歌人たちの中にいる存在というイメージはあったが、まさかこんなに美にこだわり、自由に生きた人だったとは。おばあちゃんらしくないおばあちゃん。女人らしくない女人。芸術を愛する家系の文化的豊かさというものが、田舎の普通の家に育った私にはまばゆく、興味深い。特殊な家族史を読むようで面白かった。2024/03/31

月音

4
歌人・葛原妙子のお孫さんが綴る思い出の記。本書の前に、歌人本人の随筆集、塚本邦雄による選歌・鑑賞文を読む。本人の文章より孫の方が歌人の素顔、作歌の背景、私生活の様子が明らかであり、塚本の解釈と実際の歌の背景との違い、それらのギャップが非常に面白い。歌に秘めた恋、歌材となった人々や出来事など、「あの歌はそうだったのか」と驚くこと多数。複雑な生い立ちが強すぎる自我を育てたのか、苛烈な生き方は自身と家族を傷つける。「朱と咲きいでよ」「随所に朱となれ」という言は、⇒続2025/04/06

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