内容説明
本書は1997年に診療新社より刊行された『意識障害を診わける』改訂版の復刻である。すべての精神科医に必読の名著復刊。解題を東京大学名誉教授松下正明先生にご寄稿いただいた。
「当然事前の心づもりは病者との直接の面接によって変更されるべきである。この変更をいかに柔軟にできるかどうかが、臨床医にとって大事である。予想が予断になり、事実を目前にしても修正できないと大きな誤りを冒すことになる」
「病者と向かい合い、彼の精神状態の特徴を知りたいと思う時、私達自身が刺激装置であると同時に観測装置を兼ねねばならぬ」
「それにしても、意識障害を正しく見分けるためには、意識障害のない精神病像をよく知っていることがいかに大事であるか、この本を書いていて私は痛感した」
「結局、精神医学の全領域における臨床経験をつむこと、つまり、非器質性精神病像についても、あるいは意識障害のない器質性精神病像についても、豊かな偏らない目をつくることが、意識障害を診わける目をつくることにどうしても欠かせないと思う」
意識障害について考えたことのあるすべての方へ。
目次
改訂のことば
まえがき
第1章 病者と向かい合って、あるいはその傍らで
(1)予断をもたないこと
(2)器質性精神病像と非器質性精神病像の区分
(3)一つの現象の多重の意味
(4)関与しながらの観察
(5)器質性精神病像をみつけることの重要さ
第2章 意識障害の臨床的把握
(1)意識障害とは何か―意識混濁と睡眠の比較
(2)意識障害とは何か―せん妄と夢の比較
(3)著明な意識混濁の診断
(4)軽い意識混濁の診断
(5)動揺性、可逆性、類型相互の変転性
(6)意識障害と臨床脳波
(7)意識障害をつかむのに必要な心構え
第3章 意識障害の臨床類型
(1)二つのグループ
(1)の補遺
(2)意識混濁の系列
(3)意識変容のグループ
(3)の補遺
(4)特殊な意識状態
第4章 意識障害と鑑別を必要とする精神病像
(1)記憶障害の目立つ状態
(1)の補遺
(2)精神運動性興奮を伴う状態
(3)著しい寡動状態
(4)心因性の意識喪失や昏迷
(5)認知症と意識障害の鑑別
(5)の補遺
第5章 過去の意識障害
(1)過ぎ去った意識障害のエピソード
(2)家族(周囲の人)から意識障害をききとる
(3)患者自身から過去の意識障害をきく
(3)の補遺
第6章 ふたたび病者と向かい合って、あるいはその傍らで
(1)意識障害を診わけてから
(2)意識障害を診わけるために
参考文献




