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内容説明
明治7(1874)年、日本の台湾出兵に清国が抗議、北京で二国間交渉がもたれた。大久保はこの北京談判で全責任を負って困難な交渉にあたり、その手腕を発揮して清国の譲歩を勝ち取る。旧友西郷隆盛と対立して朝鮮出兵を封じた大久保が、後に台湾出兵を進めたのはなぜか。北京談判での大久保の冷徹な現状認識、粘り、そして強い責任感と信念。征韓論争から北京談判まで、手紙や日記等豊富な史料をもとに、内政家として語られてきた大久保利通の外交を評価する。「明治の政治家はかつて責任を回避することを知らなかった」。本書には、太平洋戦争下の現実政治に対する、著者の鋭い弾劾が秘められている。
目次
序
第一章 征韓論を中心に
一 大久保の外交機略
二 大陸主義と内治主義
三 外遊による心境の変化
四 財政と政治の調和
五 西郷の身を思う
六 西郷、大久保の対立
七 身命を賭する閣議の激論
八 征論の理論的根拠
九 大久保の内治主義の理拠
一〇 大久保第一線に起つ
一一 西郷故山に還る
第二章 征台を敢行するまで
一 自ら清に使いす
二 対外思想の進化
三 琉球帰属問題解決の必要
四 米人顧問の進言
五 閣議、征台を決す
六 英国公使パークスの横槍
七 米国公使の抗議
八 西郷従道、命を聴かず出発
九 大久保責任を一身に負う
一〇 紛糾する英米との交渉
第三章 日清間の予備交渉
一 征蕃派軍と国内事情
二 外人記者の日本軍隊観
三 台湾における西郷とその軍隊
四 柳原と清側との交渉
五 廟議積極論に一決す
第四章 全権弁理大臣として
一 大久保の決意と重臣の反対
二 広大なる権限と準備
三 大久保の出発と国内事情
四 外人顧問ル・ジャンドル
第五章 北京談判の行詰り
一 大久保の交渉政略
二 談判、破局に瀕す
三 英仏米その他の動き
四 清に妥協の色
五 日本国内の動揺
六 談判不調、帰国に決す
第六章 交渉妥結に到る
一 英国公使ウェードの調停
二 ウェードの本国政府への報告
三 清側の経過報告書
四 談判中の大久保の心事
五 パークスの征台観
六 在清外人の交渉批判
第七章 大久保の心事と政策
一 天津にて李鴻章と論ず
二 成果に対する賛否の対立
三 樺山資紀の交渉観
四 償金の返還を主張す
五 故国の熱狂的歓迎
六 御下賜金で新築
七 外政家大久保の存在理由
附録
大久保弁理大臣ノ復命書
使清趣意書
外政家 大久保利通略年譜
後記
中公文庫版解説(村松 剛)
ちくま学芸文庫版解説(瀧井一博)
人名索引
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