ちくま新書<br> 商店街の復権 ――歩いて楽しめるコミュニティ空間

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ちくま新書
商店街の復権 ――歩いて楽しめるコミュニティ空間

  • 著者名:広井良典【著者】
  • 価格 ¥1,210(本体¥1,100)
  • 筑摩書房(2024/02発売)
  • ポイント 11pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480076083

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内容説明

商店街は過去の遺物ではなく、新たな動きが見え始めている。若い世代がカフェやコワーキングスペースなどコミュニティの拠点として商店街に関心を向け、クルマで買い物に行くのが難しい高齢世代が商店街に足を向ける流れも出てきた。コミュニティ空間としての「ウォーカブル・シティ(歩いて楽しめる街)」を求める動きも各地で起こりつつある。商店街のもつ新たな意味や価値に注目し、国際比較の視点や、まちづくり・交通など公共政策の観点も盛り込み、幅広い叡智を結集。未来の商店街のありようと、再生に向けた具体策を提起する。

目次

はじめに 広井良典/第1章 商店街の復権──コモンズとしての中心市街地再生に向けて 広井良典/1 私の「商店街」経験──日本・アメリカ・ヨーロッパ/「モール」との出会い──八〇年代末のアメリカ経験/ヨーロッパでの「商店街」“再発見”──国際比較の重要性/2 「歩いて楽しめるまち」のイメージ──コミュニティ空間としての都市/ドイツの事例から/日本の現状/新たな展開の兆し/高齢化そして「デッド・モール」/3 中心市街地空洞化/シャッター通り化の背景と展望/シャッター通り化の三つの要因/大規模店舗規制をめぐるドイツと日本との比較/【供給サイドの要因】商店の後継者問題について/シャッター通りと耕作放棄地/【需要サイドの要因】消費者にとっての魅力──空間/個店/「地域密着人口」の増加と商店街/4 「コモンズとしての商店街」に向けて/「多極集中」のビジョン/「エリアリノベーション」と情報サイト/ワーカーズコープと商店街、あるいは参入主体の多様化/商店街における企業の役割──資本主義の構造変化?/商店街再生×若者支援/空き店舗への公的関与の強化/「コミュニティ商店街」の展開/商店街と農業・農村をつなぐ/商店街×デザイン/日本の商店街の「アーケード」の独自性/地域経済・産業論とまちづくり・空間デザインの統合/第2章 成長局面からみた商店街再生の実践ステップ 遠藤浩規/1 商店街を取り巻く現状と本章の目的/社会課題解決の場として再評価される商店街/主体性と持続性の重要性/2 主体性と持続性/商店街の分類/主体性と持続性の正体/3 商店街の成長局面/局面1 後の主体性・持続性の源泉となる震源店の存在/局面2 ターニングポイントの存在/局面3 多様な価値観による活動の発展/4 商店街活動が提供する価値/商店街活動の分類/三つの活動が提供する価値/5 事例から見る成長局面と商店街活動の価値【セブン商店会:京都府長岡京市】/セブン商店会再生の概要/各成長局面における分析/商店街活動によって還元された価値/6 商店街の再生にむけて/商店街ゆえの価値とは──祖母の商いを通して/商店街の価値が未来に がる可能性(東寺道親交会:京都府京都市)/主体的・持続的な商店街活動の実践にむけて/第3章 エリアリノベーションと商店街の可能性 千葉敬介/1 プロジェクトの始まり/これからのまち、暮らしと、商店街/商店街の使い方を探る実験/可能性を残し、生かすために/2 プロジェクトについて/三つの特徴/小さなエリアで同時にオープン/頼まれていないのに地域のことに取り組む/立地の選び方/立地選びの決め手は人/プロジェクトのきっかけ/3 まちも建物も、もっと楽しく/東京R不動産とは/人が建物を魅力的にする/共感が人を呼ぶ/まちから始まり、再びまちへ/エリアリノベーション/現象から方法へ/4 プロジェクトとまち/R不動産の店「おぐセンター」/まちのリビング/まちの○○の可能性/集まった四組の仲間と、その後の展開/5 商店街とまちの可能性/見据える地域や社会の像/暮らしの場に求められるつながり/場所の選び方が変わる/「コーポラティブ」という手法/面として価値を捉える仕組みが必要/第4章 コミュニティ的空間としての商店街 今井隆太/1 商店街を問いなおす/商店街のどこに着目するか/商店街活性化策の意義は十分議論されてきたのか/商店街活性化論を問いなおす/2 どうして交流や地域社会に注目しなければならないのか/孤独/分断や排除/地域社会/3 商店街の社会的意義とは何か──日本の商業・都市政策とJ・ジェイコブズの街路論/日本の商業政策と都市政策/ジェイコブズの観察/どんな研究が行われてきたか/地元の交流が衰退しても商店街の交流は残るのではないか/本当に空間や環境は地域の社会に影響しないのか/4 何を調査・分析するか/調査方法/分析方法/理論仮説を作る/理論仮説を操作化する/調査票調査の概要/5 分析から何がわかったか/6 商店街は交流や地域への愛着・関心を、地元店や個人店は信頼を増やす/商店街の社会的機能の正体/商店街の社会的機能の固有性と意義/7 商店街の本質は何だろうか/コラム ホテルからまちを創る──帯広中心市街地活性化の取り組み 柏尾哲哉/第5章 商店街復権への取り組み 神﨑浩子/前田志津江/1 商店街創生センターの開設/京都府の商店街とセンター設立以前の支援について/その誕生と役割/2 センターの主な事業/きめ細やかなオーダーメイド型伴走支援とは?/はじめの一歩を後押しする具体的方法/商店街×○○/商店街情報の一元化・発信強化/3 伴走支援の具体的な取り組み事例/4 地域コミュニティの核とは/コロナ禍での伴走支援──POSTコロナ社会に向けて/商店街の新たな価値に向けて──多機能化への挑戦/5 商店街復権のかすかな兆しと多機能化の具現/商店街組織の世代交代/若手による商店街の立ち上げ/多機能化の具現/6 今後の課題/第6章 中心市街地再生と交通まちづくり政策 宇都宮浄人/1 商店街の衰退と交通/三〇年前から続く中心市街地の衰退/中心市街地の衰退の要因/自家用車の普及と公共交通のサービス低下、中心市街地衰退の悪循環/ダウンズ・トムソンのパラドクス/2 交通まちづくりとコンパクトシティ戦略/交通まちづくり/コンパクトシティ戦略/コンパクトシティの現実/3 交通の社会的な影響/自家用車に過度に依存することの弊害/公共交通の外部経済/4 欧州の政策/自動車の流入規制/公共交通のサービス改善/SUMP(サンプ)──持続可能な都市モビリティ計画/5 交通政策は中心市街地活性化に寄与するのか/公共交通サービス改善がお出かけを後押し/公共交通はコミュニティの人間関係を醸成/6 今後の課題──交通がつなぐサードプレイスの創出を/第7章 シャッター通りと耕作放棄地──未利用ストックの活用と効果 加藤猛/1 シャッター通りと耕作放棄地の課題/シャッター通りとは/シャッター通りと耕作放棄地の共通点──未利用ストック/2 経済物理学からのアプローチ/経済物理学とは/資産交換モデル/3 シャッター通りと耕作放棄地への提言/未利用ストックの活用施策──ストックの社会保障/商店街と農地を結ぶ地域復権/資本主義経済のオルタナティブへ/第8章 各地の事例からの示唆と展望 小池哲司/1 商店街×「DIYリノベーション」/辰野町で進められているDIYリノベーションまちづくり/○と編集社が取り組む「トビチ商店街」/2 商店街×「宿泊・観光」/観光資源としての商店街/商店街に泊まるホテル「SEKAI HOTEL Fuse」/SEKAI HOTEL Fuseを通した商店街での観光/SEKAI HOTEL Fuseの生まれた背景と状況/3 商店街×「農業」/一関大町商店街と新鮮館おおまち/新鮮館おおまちの取り組み内容/4 商店街×「事業承継」/商店街の衰退と“事業承継”/事業承継プラットフォーム「relay」/行政等と連携する「relay the local」/5 商店街×「起業創業支援」/小さな起業と商店街/無印良品の“一坪開業”/行政がお試し出店を支援する「コマワリキッチン」/6 まとめ/執筆者紹介

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

takao

3
・ウォーカブル・シティ 経済物理学の応用2024/05/01

Haruka Fukuhara

1
冷静な筆致での分析でありながら実例豊富で大胆な論の展開もあり読ませる。2024/04/25

Kooya

1
シャッター通り化をはじめ暗い話題が多い商店街を"コミュニティ空間"として再定義し、その復興ひいては地方都市の活性化について多面的に論じた本。欧州との比較を通じて編者が商店街復興の要点を抽出した後、観光や公共交通等との関連性を踏まえて各論が展開されている。商店街を「人との繋がりが得られる場所」として"コミュニティ空間"形成の起点と見做し、地域の持続性強化に繋げていく考えは、規模感は違うものの、多くの半導体メーカーが集積したことで人が集まり、発展を遂げたシリコンバレーと通ずる部分があると感じた。(続く)2024/03/09

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