内容説明
都内美大の映像科に通う芦屋啓介は困っていた。
「写真に男が映る。削除できない」と言う親友の様子がおかしい。
啓介が彼の怪奇現象に巻き込まれそうになった時、日本画科の美しい少女、月浪縁に救われる。
縁には「絵に描いた人間に怪奇現象が起こると絵に異変が現れる」という特殊能力があった。
それを生かして人助けをする彼女に啓介は手伝いを申し出る。
そして啓介は縁を中心に巻き起こる不可思議な世界を知っていき――。
「君にも語るべき怪談があるはずだ」
美大の怪談は、おもしろい。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
真理そら
52
美大を舞台にした怪異談。月浪縁は人物画を描くとモデルに異変が起きる場合は絵に兆候が出る。縁を手助けする啓介が(個人的に感じる)美大生としては常識的な行動なのがいいバランスだ。2024/03/15
なみ
19
人の絵を描くことで、その人に異変が起こるかどうかがわかる能力を持つ美大生の月浪縁が、怪談を語ることで怪異から人を救う物語。 様々なタイプの美大生、そして怪異が出てきて楽しかったです。 縁と啓介との距離感も好き。 『麒麟の筆』の啓介がすごく格好良かった。 友人を助けてもらったお礼だけではなく、共に事件に関わってきたことで、単純に縁のことを大切だと思うようになった気持ちからの言動にグッときました。2024/02/21
冬野
11
美大が舞台の怪異譚。才能という形の見えない化け物と対峙し闘う若者の青春物語でもある。面白かった。not恋愛関係な男女バディ好き。バディの片割れの芦屋啓介が義理堅くて友情にも厚くいい奴すぎた。後半にいくにつれて月浪縁(表紙の超然とした雰囲気を纏ってる女子)の人間味も出てきて、ただ助ける-助けられるという非対称な関係じゃないのが良い。美大という装置が特に生かされていた「コレクション」「麒麟の筆」が特に好き。ちょっとビターなストーリー展開も好み。月浪家の面々もキャラ濃くて気になる。続編読みたいな。星:4.5/52024/03/07
色素薄い系
4
縁はもっと淡々としている人なのかと思っていたらやはり人間である以上色々悩みもあったようで最初の頃は見えなかった人間性が見えてきたのが良かったと思う。それもこれも芦屋くんが恩返しさせて欲しいって言ったからだし、彼がいなければ縁は最後助からなかったんだろうと思うので結果的に良いバディになったんじゃないかな。怪異云々言っていたけど結局一番怖いのは「人間」という事を示していたように思う。2024/04/26
マッケンジー
4
初読みの作家さん。タイトルと帯文に惹かれて購入。猫を連想させる主人公の月浪縁のキャラクター性が好きです。主人公のお母さん、お兄さんも個性的で面白い。主人公と彼女を手伝う同級生を通して、共に不可思議な現象を体験しているようだった。美大を卒業してそれぞれの進路が決まるまでシリーズとして読みたい。2024/02/18