内容説明
東日本大震災発生時、仙台の職場にいた川島聡太は、ライフラインが寸断されているなか、両親の安否を確かめるため、沿岸の故郷へ向かう。
半世紀後の同地は巨大な防潮堤に阻まれ、小学三年生の呼人は生まれて一度も海を見たことがなかった。
時を超えて二人に訪れる真の復興と奇跡を描く、著者渾身の感動長編。
本書は宮城県気仙沼市がモデルの架空の町を舞台とする「仙河海サーガ」シリーズの1作。
(『潮の音、空の青、海の詩』改題)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まーみーよー
25
文庫版は単行本から加筆されているので文庫本を選択。仙河海シリーズ4作目。前3作品とは異なり、今作は東日本大震災を直接描いている。どうしても記憶は薄れてしまうので、震災の凄惨さもすべてリアルに文章に遺す意義があると、この作品を通して思う。また、熊谷さんがあの災害を文章で表現できることの凄みを感じた。第一部が震災当日から、第二部は仙河海の未来、第三部が震災から三年。個人的には第一部と第三部だけで良かったようにも思える。というのも主人公の人物像が第一部と第二部でどうしても一致せず違和感を感じてしまったから。2025/04/15
さんつきくん
9
新聞に連載されたのも、単行本で刊行されたものも両方読んだ上で、改題された文庫本も手にし、購入した。単行本版は10年近く前に読んでいるが、読み比べてみると文庫本版とでは、あれ?ちょっと違くなっているようなと思って読んでました。著者の仙河海シリーズの1作。震災当日と震災直後を書いた第1部。震災から50年後の未来を書いた第2部。震災から2年後を書いた第3部の3部作となっている。第3部は以前出した「微睡みの海」の続編にもなっている。その第3部が私の好み。思い詰めていた笑子をかつての同級生がおせっかいを焼くのである2024/03/30
汲平
7
東日本大震災を描いた作品。第1部は仙台で被災した主人公が津波で破壊された故郷に帰るまで。第2部はその50年後の未来。第3部は震災の2年後。経時的に並んでいない上に第2部のトーンが前後と異なっているのでちょっと戸惑う。コンクリートで隔てられた海と街。自然の脅威を嫌というほど思い知ったくせにそれでもなお抗おうとする。そうではなく共存する道はないのかと問いかける第2部は、異色だが説得力があるので、別作品にした方が良かったかも、と思わないではない。2024/07/15
なんてひだ
6
仙河海のは何回目だろうか、毎回深く考えさせられる。今回も3.11なんだが、未来を描くって初めてかもね、でも自然と共存せずにコンクリート壁だけで全ての問題を解決する気仙沼市に住まない官僚の考えを押し付けた、問題提起する大事な事です。我々は本当に何も知らない無知でメディアの公平性が世界70位とかのくだらない情報しか知らされない悲しい国民、キックバックが見つかっても脱税すら認めない悲しい国民。今のままなら未来はこうなるよと言う熊谷達也さん。第二部の続きが無いのと、ラストの笑子の子供の名前とは未来が変わったの?と2024/05/07
梅あんず
4
東日本大震災直後の被災地と、その50年後の未来を繋ぐ物語。 気仙沼をモデルとした町を故郷に持つ聡太の目線で語られる被災の状況はとても真に迫るものがあって、あのとき自分が一人でこの場にいたらどうなっていたんだろうと考えずにはいられなかった。恐ろしいけどやっぱり忘れちゃいけない出来事だとあらためて思う。 海への複雑な感情や震災との向き合い方、そして静かな祈りが込められているような、私にとって大切にしたい作品。2024/11/10
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