内容説明
不可能を可能にする戦場でのリーダーのあるべき姿とは──『早乙女碧シリーズ』著者の時武里帆氏推薦、海上自衛隊幹部候補生学校の指定図書にもなった感動作!
フィリピン沖三百マイルの太平洋上で、敵潜水艦の魚雷攻撃を受けて乗艦沈没の憂き目にあった軍艦名取短艇隊百九十五名の生還の記録。食糧も、真水もなく、航海用具も持たず、十五日間も橈を漕ぎ続け、二十七歳の先任将校の決断、次席将校の補佐、隊員の団結で、死の運命を切りひらいた海の男たちの感動の物語。〈解説/時武里帆〉
感想・レビュー
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yamatoshiuruhashi
52
「新装解説版」という文言に惹かれて購入。再読どころか幾度読んだことか。撃沈された巡洋艦の生存者たちが敵潜水艦の遊弋する海域を300マイルに渡って、飲料水もなく食事は乾パンを日にわずかという過酷な条件の下、カッターを昼は帆走、夜は10時間に渡って漕ぎ続けることで走破し整然と180余名が帰還するまでの実話。筆者は次席将校として先任小林大尉を称賛しているが、筆者をはじめそこにいた士官たちの機知と責任感、そして皆の生き残ろうという強い意思の成し得た結果だと読む度に感銘を受ける。2024/12/05