内容説明
『痣』の名コンビ宮下刑事&真壁刑事が帰ってきた!
【著者からのコメント】
真壁、宮下という〝無茶〟な刑事コンビが初登場した作品が『痣』(徳間文庫)でした。
その後、この2人に人気が出て、わたしの作としてはめずらしくキャラがひとり歩きし、版元をまたいであちこちの作品に登場することとなりました。(少しでも顔を出している作品の総部数は80万部を超えます)
あの二人組が、本作『水脈』で、堂々〝主役〟として戻ってきます。
そして、シリーズものを書かないわたしとしては、初の「続編」チャレンジになります。
今回は、エリート血統の帰国子女という「お荷物」のお守りをしながら、未知の闇に挑みます。
事件を解決するのか、ぶち壊すのか。最後まで流れゆく先がわからない『水脈』をご堪能いただければと思います。
【あらすじ】
神田川の護岸に設けられた排水口から、遺体が発見された。
台風の雨で増水した影響で、遺体は地下水路の「暗渠」を通って流れ着いたようだ。死後数日経過しており、猛暑で一部は腐敗も始まっていた。
和泉署に合同捜査本部が立てられ、宮下は久しぶりに真壁と組むことになるのだが、そこには“お客様”も加わることになった。
暗渠に妙に詳しいその客は謎に包まれていた――。
この事件は濁流のひとつにすぎない。
地底には、見えない「水路」が無数に広がっている――
【主な登場人物】
・宮下真人 警視庁高円寺北署、刑事課所属。奥多摩分署時代、真壁と組んでいた。
・真壁修 奥多摩分署から警視庁捜査一課へ引き抜かれる。現在は特務班所属。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
236
伊岡 瞬、3作目です。 本書は、シリーズ第二弾、社会派厭ミステリ復讐譚でした。 今後、実際の事件に合わせて、半グレを扱った作品は、どんどん増えて来るでしょうね。 https://www.tokuma.jp/book/b641108.html2024/03/09
旅するランナー
218
杉並区永福三丁目の暗渠で発見された死体。遊軍として捜査を進める警視庁捜査一課真壁と、高円寺北署刑事課宮下のコンビによる軽快なやり取りによっても包み隠せない、警察内部の隠蔽体質と、詐欺·強盗グループの過剰な悪事という負の流れ。暗渠を流れる地下水脈になぞらえて、社会の暗部を流れる感情を描いた問題作になっています。2024/05/12
いつでも母さん
161
真壁・宮下の2人が友軍として捜査に加わる事件。なんだかモヤモヤする真相だったなぁ。修士論文作成の為と見学する幹部の姪って本当にこんな事あるのだろうか?それも含めてモヤモヤするのだ。なんだか闇を見せつけられたようでモヤモヤ(←3度目)殺害された被害者が痛まし過ぎる。別の事件で真壁・宮下コンビにまた会いたい。2024/02/26
イアン
151
★★★★★★☆☆☆☆伊岡作品ではお馴染みの真壁・宮下コンビが活躍する社会派長編。神田川の護岸に開いた排水口から男の遺体が発見される。警視庁の真壁と宮下は事件に興味を抱いた女子大生・未歩のお供として捜査に加わるが、やがて同じ暗渠から第2、第3の遺体が発見され…。これらの遺体に関連はあるのか。謎多き帰国子女の正体とは。暗部への着眼点は面白く、不快指数の高さは伊岡作品の真骨頂でもあるのだが、犯人の正体やその動機には唐突感があった。どこまでも続く地下水脈の閉塞感は、特殊詐欺に手を染めた若者の行く末を暗示している。2024/09/26
モルク
144
神田川の排水口から見つかった惨殺遺体。捜査のタッグを組むのは真壁、宮下コンビ。しかし捜査よりも警察庁審議官の姪小牧のお守りを言いつけられる。遺体が流れてきたのは、元々川だった所を地下に潜らせたり上に蓋をして閉じ込めてしまった暗渠ではないかという小牧の意見がポイントとなる。暗渠というとブラタモリでよく出てきて興味深く思っていたのでいい視点だ。後半にいくほどスピードアップ。所々出てくる高齢女性の話。彼女の親切心がこんな結果になるとは…特殊詐欺はやるせない。また真壁、宮下コンビに会いたい。2024/05/27