コンクール文化論 - 競技としての芸術・表現活動を問う

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コンクール文化論 - 競技としての芸術・表現活動を問う

  • 著者名:宮入恭平/増野亜子
  • 価格 ¥2,640(本体¥2,400)
  • 青弓社(2024/01発売)
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  • ISBN:9784787274618

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内容説明

私たちは音楽を演奏し、ダンスを踊り、それら表現を見ることで日々の彩りを豊かにし、ときに癒やされ、励まされもしている。本来、優劣をつける必要がないにもかかわらず、人はなぜコンクールの場を設けて、芸術やパフォーマンスで競い合うのか。

ショパンコンクールからK-POPのオーディション番組、ダンススポーツ、民謡、伝統音楽、古典芸能、そして学校のコンクール、バレエ教室の発表まで、多種多様なコンクールの事例を紹介して、パフォーミングアーツを競い合うことの多様性と共通点、魅力やダイナミズム、問題点を浮き彫りにする。

演者や表現者が認められるべく努力し、審査員が真剣な眼差しを向け、観客が歓声を上げ、称賛を送る――コンクールという場で創造される表現の可能性、そこに生じる演者のキャリアや挫折、そして社会的な意義に多面的に迫るユニークな論考集。

目次

序 章 なぜパフォーミングアーツを競い合うのか 宮入恭平/増野亜子/神保夏子/小塩さとみ
 1 本書の問い
 2 競い合う場としてのコンクール
 3 コンクール文化を論じる
 4 本書の構成

第1章 エンターテインメントとしての国際音楽コンクール――第十八回ショパン国際ピアノ・コンクールのウェブ配信をめぐって 神保夏子
 1 ショパン・コンクールとは何か
 2 配信とエンタメ化
 3 「才能は始まりにすぎない!」
 4 ヒューマンドラマに魅せられて
 5 登竜門というエンターテインメント

第2章 オーディション番組の生存と越境 吉光正絵
 1 オーディション番組への注目
 2 韓国発オーディション番組の特徴
 3 審査基準と選抜方法の変遷
 4 審査過程の透明性と公平性の問題

コラム 近代的な「コンクール」の幕開け――十九世紀のパリ国立音楽院ピアノ科の場合 上田泰史

第3章 対戦競技化するダンススポーツ――スポーツ化と芸術化のあわい 垣沼絢子
 1 対戦競技化するダンススポーツ
 2 Dリーグというコンペティション――プロスポーツという枠組み
 3 絶対評価の価値基準を攪乱する
 4 相対評価が即興性と競技性を回復させる

第4章 ポールスポーツ大会による規格化とポールダンスの実践――ポールダンスの行方を決めるのは大会なのか、ダンサーなのか ケイトリン・コーカー
 1 ポールダンスの歴史
 2 ポールスポーツの確立
 3 スポーツと夜のエンターテインメントとの攪乱――男性がポールスポーツ大会に出場しながらも、ショーパブで踊ることについて

コラム 闘えない人々の闘い――競技空間の外にいるインドネシア武術愛好者について 今村宏之

第5章 秋田県の地元一曲民謡大会にあつまる人たち――趣味になった民謡が生み出し支える場 梶丸 岳
 1 秋田県での地元一曲民謡大会の成り立ち
 2 衰退しつつある地元一曲民謡大会
 3 なぜ地元一曲民謡大会はいまも続いているのか

第6章 発熱するコンクール――バリの伝統音楽グンデル・ワヤンの事例から 増野亜子
 1 競技会と伝統音楽
 2 コンクールが「種をまく」
 3 コンクールの「熱」が教室を生み出す
 4 コンクール独自の演奏スタイルが生まれる
 5 勝負の場としてのコンクール
 6 コンクールの「額縁効果」
 7 車輪が回る

コラム 伝統音楽に人々を巻き込む仕組みとしてのコンペティション 水上えり子

第7章 海を渡って琉球古典芸能コンクールに参加すること――ハワイの沖縄系人を事例に 澤田聖也
 1 ハワイの沖縄系人
 2 ハワイでのコンクールの認識
 3 ハワイの沖縄系人にとってのコンクール
 4 コロナ禍でのコンクール

第8章 学校とコンクール――競い合いのなかで何を学ぶのか 小塩さとみ
 1 コンクールの仕組み
 2 コンクールはなぜ定着したのか
 3 コンクールをめぐる「物語」
 4 もう一つの「物語」

第9章 「バレエ大国」ニッポン――発表会文化の連続性として 宮入恭平
 1 国際バレエコンクールが意味するもの
 2 「バレエ大国」ニッポン
 3 発表会文化とは何か
 4 発表会文化の連続性として

ほか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

103
音楽や舞踊のプロを目指す人にとって、才能を披露する場であるコンクールは生活の一部だ。毎月のように各分野のコンクールが開かれ、聴衆はパフォーマンスだけでなく参加者の競い合いにエンタメ的な興味を求める。そんなコンクールを目指して多くの若者が幼い頃から準備を重ね、親や学校を巻き込んで成功や挫折の人間ドラマを繰り広げる。何かに夢中になるため参加する人も絶えず、謝礼やチケット収益目当ての欲望も絡んだコンクールは産業と称せる規模に発展した。このような現状を無条件で続けてよいのか、立ち止まって考えるのに有益な本だろう。2024/04/06

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