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内容説明
ホモ・サピエンスは進化を間違えたか?
霊長類学者でゴリラ研究の第一人者である著者が、長年のフィールドワークでゴリラと向き合う中から紡ぎ出した文明論、人類論が凝縮された1冊になります。
世界中で大きな被害を出している異常気象。地球が悲鳴を上げているとしか考えられないが、その原因は現代人が作り出した文明や科学にある。そんな危機感を、ホモ・サピエンスと最も近いゴリラの生き様、ゴリラの目を通して分析。人類と自然の付き合い方、人類と文明、人類と戦争など、さまざまな切り口から、文明を変える力への期待、希望について語る。
(底本 2024年2月発売作品)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
73
良い本です。幅広く最新の知識が。 昔から、まるでシルバーバック(ゴリラのリーダー)のように素敵な人だとTVなどでお見受けしました。 ゴリラ社会に入り切る。究極の異文化体験。その経験から人間の文化を見ると。2024/06/07
ゆーじ
1
人類の脳の容量は1400~1600ccで凡そ150人までの複雑な関係に対応できるそうです。でもそれを超えると言葉を持たない原人は共感する方法として踊ったり唄ったりしてたそうです。確かに団体スポーツで試合前に選手が気合を入れるため同じ動きをしたり、応援歌を唄ったりしますが、甲子園の応援や大学スポーツなどで150人以上の集合となると覇気を高めるために行うこういった行動は類人猿のDNAがなせるわざなんですね。2024/03/24
Go Extreme
1
文明の転換期 遊動の自由を復活させて生かす時代: コモンズとシェア パラレルワールド 弱み→強み≒人類の進化 定住と自己家畜化 現代文明・暴力: 平和に生きるゴリラ・暴力を続ける人類 言葉の功罪と身体的コミュニケーション グローバルな道徳or平和なし 日本人の自然観: 自然と文化を切り離さない 第二のジャポニスム 情緒とアニミズム 地球≒水の惑星 流域の思想 文化の変革→文明転換: 遊びを処方箋に 食と性→愛を人間文化の基調 文化の変革←道具の進化 人類の本質・文明の行方:今西ー認め合い・すみわけ・共存2024/03/01
Tetsuya Sugiura
0
ゴリラのコミュニティの話は思ったより短かった。ゴリラのコミュニティが150人くらいで限界であるとのこと。サピエンスはコミュニケーションの範囲を広げすぎた上、集団を率いるために嘘をつき、さらにSNSなどで真偽不明な情報が溢れて世界は乱れつつあると言った話に見えました。今更ゴリラのように150人のコミュニティになるのは無理なので、解決策は提示されていない。これから私らで考えていかなければならない。2025/06/16
Ta Mu
0
第4章のゴリラの性交渉に遊びの要素が含まれている点や、人間社会における開かれた食と閉じられた性の逆転現象に関する論考などが興味深かった。ゴリラが子供のうちから遊びながら性交渉を学んだり、同姓どうしで性交渉が発生するとかも面白かった。あとは、人間社会がコミュニティの増大によって脳の容量が増えた話や、社会性や共感性を際立たせる一方で、それ故に暴力性が現れる話なども印象に残っています。さまざまな視点による相対性の獲得は新鮮な知的好奇心が駆り立てられますが、ゴリラの視点で人間を相対化させるのは初めての体験でした。2025/02/25