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内容説明
幕末の英雄と言えば、西郷隆盛、坂本龍馬、勝海舟ら。だが歴史を動かしたのは彼らだけではない。幕府と反幕府勢力の戦いの背後では、世界の覇権を争うイギリスとロシア、そしてフランス、プロイセンなどの列強が、日本への影響力強化を目論み、熾烈な攻防を繰り広げていた。各国の思惑、幕府軍・新政府軍への介入はどんなものだったのか。日本はなぜ独立を守れたのか。国内外の最新研究や機密文書を踏まえ、地球規模で歴史を俯瞰するグローバル・ヒストリーの視点で、黒船来航から戊辰戦争終結までの激動の十六年を描き出す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
68
欧米の史料に当たり、日本の幕末・維新期において欧米諸国がどのような考えをもっていたかを明らかにしようとする姿勢は評価できる。しかしそれだけで語ろうとするのは無理があり、日本の側の事情や考えに対しての著者の理解が浅く、本書だけで幕末・維新を語ることはできない。特に徳川慶喜について、彼が実は誰よりも尊皇であったという基本が押さえられていないので、特に戊辰戦争(徳川=朝敵になったという図式がほとんど感じられない)の展開が理解しづらい。内戦が欧米列強の植民地化につながる恐れは慶喜は十分意識していただろうに。2024/03/14
Sam
49
幕末の歴史を、「日本がいかに欧米列強と関わり合ったか」というナショナルな観点からではなく、「世界の覇権争いのカギを握るのが幕末日本だった」といういわばグローバルヒストリーの観点から描いた一冊(というか、「NHKスペシャル」の書籍化)。幕末の歴史を読むたび「よくも欧米列強から侵略されずに済んだものだ」と思っていたが、米英仏に加えロシアやプロイセンといった列強のグローバルな関係性の中に日本を置いてみると日本が侵略されずに済んだ理由がよく分かった気がする。2024/03/04
ta_chanko
16
幕末日本の動乱の裏で蠢く欧米列強の思惑。イギリスによる京都・江戸征圧計画。ロシアの対馬占領事件。プロイセンの蝦夷地植民地化計画。薩長をイギリスが、幕府をフランスが、奥羽越列藩同盟をプロイセンが支援。戊辰戦争で新政府を勝利に導いたのは、イギリスが主導する局外中立により新潟港が封鎖されたこと。同じくイギリス主導で局外中立を解除したにより蝦夷共和国を降伏に追い込んだこと。結局イギリスの思惑通り、日本に統一政権が誕生。2024/02/26
TK39
7
幕末を外国の史料などから説明を試みている。兵器を提供している英仏などの思惑などがわかるが、ちょっと一方的すぎるところもあるかなと。外国の思惑中心で明治維新が起きたわけでもない。とはいえ、新しい視点から明治維新を語るのは面白いので、更なる深掘りを期待。2024/03/24
入江・ろばーと
2
グローバル・ヒストリーから幕末を眺めると、ナショナル・ヒストリーとは違った様相が窺える。細部の描き方に不満がないではないが、久しぶりに「面白い」本と出会えた。ロッシュが思った以上に幕府に肩入れしていたこと、列強各国が冷静に日本国内の状況を分析していたこと……初めて知ることばかりで勉強になった。2024/03/04