内容説明
どれほどの覚悟が必要だったことなのかと、今やっと考えられるようになりました。家族を道連れに父は人生の再スタートを試みたのだと思います。(本書より)
『anan』『POPEYE』『BRUTUS』の創刊に携わり、雑誌におけるエディトリアルデザインの先駆的な偉業を成したアートディレクターの堀内誠一は、絵本作家としても『くろうまブランキ―』『たろうのおでかけ』『ぐるんぱのようちえん』をはじめ多くの名作を手がけました。1974年、42歳のときに誠一は雑誌とデザインの現場からいったん離れて、数冊の絵本の仕事だけを抱え、家族を連れてパリ郊外へ移住しました。本書は、当時中学1年生だった長女の花子が、パリで過ごした日々を中心に父・誠一との思い出を綴った初エッセイです。かけがえのない大切な記憶をたどり、約50年前のパリでの学校生活、取材旅行に同行したヨーロッパの国々、父親の意外な素顔などを振り返りながら、さらに安野光雅、澁澤龍彦、石井桃子、瀬田貞二らとの交流秘話を明かします。巻頭にはイラスト、ポスター、絵手紙、写真など誠一の作品を多数収録。巻末には「堀内誠一と家族の歩み」と「堀内家の写真アルバムより」を掲載しました。装画・挿絵はすべて堀内誠一。
目次
はじめに
パリ到着
学校がはじまる
恐怖のカテシズム
給食の時間
父が居る家
苦手なお使い
マルボロの思い出
父はマンガ好き
父は映画好き
家族で観た映画
別世界の高校生活
そして放課後
「音」が好き
旅がはじまる
パリのお客様
家族同行の取材旅行
安野さんの来訪
瀬田さんに宛てた「カスティリア讃歌」
澁澤さん
奈良原クンなら……
衿子さんをめぐる思い出
スミコさんのいた日常
ソッチ
家族で暮らした家
おわりに
堀内誠一と家族の歩み
堀内家の写真アルバムより