ちくま学芸文庫<br> 民俗のこころ

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ちくま学芸文庫
民俗のこころ

  • 著者名:高取正男【著者】
  • 価格 ¥1,320(本体¥1,200)
  • 筑摩書房(2024/02発売)
  • ポイント 12pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480512093

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内容説明

長い年月をかけて積み重ねられてきた生活習慣は知らずしらずのうちにわれわれの精神や行動を規制している。家族それぞれの箸や茶碗が決まっており、自分以外はそれを使ってはならないというのはその代表例だろう。高取正男はこの日本人の無意識下にある感覚「ワタクシ」に着目し、現在の社会問題や歴史的事象の背景を探ろうとした。その際高取が重視したのは生活文化の変遷を凝視することであり、民俗調査を行い古老と向き合う中で実際に自分の内部にもひそむ日本的思考に気づくことだった。民俗学と歴史学を取り結び、新しい歴史記述のあり方を模索した記念碑的名著。

目次

I 変転のあと/内省の学としての民俗学/歴史の原点をもとめて/残らされたもの/荷車の道/「武士の娘」の体験記/くわえギセルの荷車ひき/日常事は忘れがち/消えていった地域差/中間をカットした交通形態/文明に飼育される/土着性を失わせていったもの/II 土間の作法/庭の祭りと台所の神様/玄関をもたない農家/家に住みついている神々/土足で踏まない土間/神々に公私の差別/重層信仰の内容/私権の核──食器/枕にまつわる俗信/「ワタクシ」をめぐる禁忌/III ワタクシの論理/ヘソクリの由来/苧桶と奉公人の開墾地/サンズ縄と柴挿し/疎外されたワタクシ/飢饉が生んだ無縁の霊魂/蒸発、放浪の老人の話/ワタクシの暴発/母子心中と来世観/庄内の「森の山」/子は道づれか、先導役か/IV 神をみる場所/宗教への離陸/三人の女教祖のばあい/虫送りと正月トンド/シャモジ渡しと主婦の座/主婦権に宿る霊力/食器に結びつけられる霊的関係/主婦就任の儀式/練り踊る女の信仰/御霊会の後裔、疱瘡踊り/辻とサイの河原/聖域としての辻と境/V 座敷づくり/時間と空間の折り目/自給体制の根底/ワタクシの拒絶反応/水仕事の今昔/台所と食生活の改善/座敷の由来/褻居と客間の仕切り/座敷文化の意味するもの/紐の緒と千人針/「晴れ」の日常化/VI 民俗のこころ/近代の聖域づくり/聖なる町角/キツネ、タヌキの霊異譚/土着のフィクション/機殿さんと神麻続機殿神社/カガトのない靴/明日香村の水口祭/あとがき/解説 「ワタクシ」のゆくえ──「平凡な日常」の探究(夏目琢史)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

わ!

3
良い本です。50年前の本で、本当に純粋で綺麗な民俗学が書かれており、その手法によって、日本人の形が描きだされてゆきます。日本人の「個」と「公」の境界が特に明確に立ち上がってゆきます。昨今の混沌の時代を進む民俗学もそれはそれで仕方がありませんが、この時代の「迷いのない民俗学」も悪くありませんね。またここに描かれているような「神」へのあり方のようなものが、本当の日本の信仰なのだろうと思えます。名もない神、ただ信仰だけがある神が日本にはあちこちにあらわれて来ます。一度飾りを取り払い、元の姿と対面しても良いかも。2023/10/18

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