次世代生命情報医学

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次世代生命情報医学

  • 著者名:田中博
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  • ISBN:9784339072792

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内容説明

本書は,未来の医学・医療を「データ駆動型」の医学・医療ととらえ,健康管理・疾病管理・寿命延伸にインパクトが与えるような生命情報の収集方式,およびそれを有効に活用できる医療のあり方,実践体制について解説した。

目次

第Ⅰ部 ゲノム・オミックス医療概論
1.ゲノム医学の基礎知識
1.1 ゲノムの分子生物学的基礎
 1.1.1 ヒトゲノムとは
 1.1.2 ゲノム科学の前史
 1.1.3 DNAの二重らせん構造の発見
 1.1.4 自己複製する情報マクロ分子としてのDNA
 1.1.5 DNAからmRNAへの転写
 1.1.6 セントラルドグマと逆転写酵素
1.2 ヒトゲノム解読計画
 1.2.1 疾患原因遺伝子の探求のためのDNAマーカー
 1.2.2 ヒトゲノム解読計画の進行
1.3 ヒトゲノムの構造
 1.3.1 ヒトゲノムのいくつかの特徴
 1.3.2 ヒトゲノムの大域的な構造
1.4 ヒトゲノムの遺伝学
 1.4.1 ヒトゲノム遺伝学の基礎としてのメンデルの法則
 1.4.2 減数分裂と組換え
 1.4.3 ゲノムの連鎖構造
1.5 ヒトゲノムの多様性

2.第一世代の網羅的分子医学としてのゲノム医療
2.1 ゲノム医療の概念
 2.1.1 ゲノム医療
 2.1.2 単因子性遺伝病の疾患原因遺伝子の同定
 2.1.3 遺伝子多型性と疾患感受性・薬剤代謝
2.2 疾患関連遺伝子の探求
 2.2.1 原因遺伝子と連鎖解析
 2.2.2 一塩基多型性とゲノムワイド関連分析の波及
2.3 次世代シークエンスの急速な発展―「シークエンス革命」の到来―
 2.3.1 従来のDNAシークエンス方法
 2.3.2 次世代シークエンサーの登場
 2.3.3 第三世代シークエンサー
 2.3.4 「シークエンス革命」と高速シークエンサーの飛躍的発展
 2.3.5 次世代シークエンサーの基本的情報処理
2.4 ゲノム医療の到来―米国での臨床実装の過程と政策展開―
 2.4.1 米国でのゲノム医療の臨床実装の世代的推移
 2.4.2 ゲノム医療のearly adopterの時代
 2.4.3 国家プロジェクト/コンソーシアム(Big Dataand Nation-wide Policy/Consortium)の時代(2013~2016年)
 2.4.4 新たな国家政策:オバマ元大統領のPrecision Medicine Initiative(PMI)
2.5 欧州における大規模ゲノムコホートの普及
 2.5.1 バイオバンクの概念
 2.5.2 「大規模前向きpopulation準拠型ゲノムコホート」型バイオバンクの発展の歴史
 2.5.3 疾患バイオバンクの現状
2.6 ゲノム・オミックス医療の残された課題
 2.6.1 未発見の遺伝性
 2.6.2 epistaticな(システム分子医学的な)機構
 2.6.3 exposomicな(遺伝子環境相互作用)機構
2.7 ゲノム医学の最近の発展
 2.7.1 PRS
 2.7.2 SNPの疾患発症へのメカニズムの解明に向けた進歩

3.ゲノム情報以降の網羅的分子医療―オミックス医療とシステム分子医学―
3.1 概要
3.2 オミックス医療の概念
 3.2.1 網羅的分子情報からの生命全体の把握
 3.2.2 オミックス医療の特徴
3.3 オミックス情報とは―各種のオミックス情報とhigh-throughput測定法―
 3.3.1 オミックス情報の種類
 3.3.2 後天的ゲノム情報
 3.3.3 エピゲノム情報
 3.3.4 トランスクリプトーム情報
 3.3.5 プロテオーム情報
 3.3.6 メタボローム情報
 3.3.7 オミックス情報の公的データベースの利用
 3.3.8 マルチオミックス解析へ
 3.3.9 疾患プロテオームプロファイリング
3.4 オミックス医療と疾患予測バイオマーカーの研究例―われわれの研究室での成果―
 3.4.1 がんとオミックス医療
 3.4.2 オミックス情報に基づくがんのバイオマーカー探索
3.5 オミックス医療の残された課題と未来のオミックス医学
 3.5.1 環境との相互作用の情報を含むメタオミックスの探求
 3.5.2 メタオミックス情報を基盤にした「未来のオミックス医学」
3.6 システム分子医学の概念
 3.6.1 システム分子医学が登場した背景―細胞分子ネットワークの知識の増大と蓄積―
 3.6.2 システム分子医学がもたらす網羅的分子医学の革新―データ単独準拠型の解析からモデル準拠型解析との融合的解析へ―
 3.6.3 「分子ネットワーク病態学」の基礎―疾患の「座」としての意義―
 3.6.4 疾患機序のシステム的特徴を示すいくつかの例
 3.6.5 疾患形成の階層的なメカニズム
 3.6.6 「ありふれた病気」における自己維持機構と長期的「偽平衡」
3.7 システム分子医学の基本戦略
 3.7.1 システム分子医学の基本方向―「患者特異的ネットワークの病態」の認識を基盤とする医療―
 3.7.2 「統合オミックス・マルチオミックスによる分子ネットワーク同定」戦略
 3.7.3 システム分子医学の治療戦略
3.8 システム分子医学のこれからの展開
 3.8.1 複雑系疾患論によるアプローチ
 3.8.2 転移過程における上皮間葉転換のシステム的展開
 3.8.3 システム的がん治療法としての「複合免疫療法」

第Ⅱ部 次世代生命情報医学の展開
4.次世代生命情報医学の基礎としての医療情報学
4.1 医療情報学の歴史と体系
 4.1.1 臨床実践の情報支援としての「医療情報学」の発展の経緯
 4.1.2 医療情報学の現在の体系
4.2 電子カルテの発展と情報化政策
 4.2.1 わが国の電子カルテの発展
 4.2.2 米国の医療ICTの現状
4.3 医療情報のプライバシー・セキュリティーの課題と対策
 4.3.1 米国での情勢
 4.3.2 欧州での情勢
 4.3.3 英国での情勢
 4.3.4 わが国での情勢
4.4 医療情報の標準化の展開
 4.4.1 医療情報標準化の現状
 4.4.2 現行の標準化コード体系
 4.4.3 今後の医療情報の標準化―FHIR―
4.5 EHR(生涯健康医療記録)運動の国際的展開
 4.5.1 2002年から始まった「国際的EHR運動」のてん末を顧みる
 4.5.2 国家集中管理型EHRの失敗・遅滞の理由―集中の範囲と分散化の必要性;参加型医療の興隆―
4.6 地域医療情報連携の発展

5.次世代生命情報医学への展開
5.1 生命情報医学の電子カルテの情報
5.2 米国のeMERGE計画
 5.2.1 第1期eMERGE(2007~2011年)
 5.2.2 第2期eMERGE(2011~2015年)
 5.2.3 電子カルテとゲノム計画(eMERGEⅢ)
 5.2.4 フェノタイプ知識ベース
5.3 臨床情報と分子情報の統合のための情報プラットフォーム
 5.3.1 i2b2とは
 5.3.2 i2b2における臨床情報の研究利用
 5.3.3 その他の診療データプラットフォーム
5.4 臨床統合データベース
 5.4.1 iCODデータベースの特徴
 5.4.2 iCODデータベースの持つ情報
 5.4.3 公開されている情報
 5.4.4 臨床統合データベースのユーザーインターフェース
 5.4.5 ケースデータの閲覧と検索
5.5 東北メディカル・メガバンク計画における統合データベース
 5.5.1 ゲノム医療の研究開発のための新しいバイオバンク
 5.5.2 東北メディカル・メガバンク計画―統合データベースdbTMM―
5.6 米国における生命情報医学のための電子カルテの運用例―ゲノム電子カルテ,精密がん診療電子カルテの具体例―
5.7 医療におけるオントロジー
 5.7.1 ゲノム研究とオントロジー
 5.7.2 オントロジー
 5.7.3 バイオバンクのオントロジー
 5.7.4 Human Phenotype Ontology

6.ビッグデータ・AIによる医学・医療の第三次革命と未来の医学
6.1 医療ビッグデータ時代の到来
 6.1.1 医療ビッグデータのおもな種類
 6.1.2 「新しい生命医療情報のビッグデータ」と「従来の医療情報のビッグデータ」の違い
6.2 モバイルヘルスと患者参加型医療
 6.2.1 生理的変量の連続測定とモバイルヘルス
 6.2.2 「情報による治療」の普及
 6.2.3 患者団体の興隆
 6.2.4 モバイルヘルス方式の厳密な方法論の発展
 6.2.5 患者参加型医療から患者主体型医療へ
6.3 電子カルテによる「リアルワールドデータ」
 6.3.1 ランダム化比較試験への批判
 6.3.2 FDAのリアルワールドエビデンスに対するガイドラインと治験でのリアルワールドデータの利用
 6.3.3 疾患レジストリーを使用した臨床治験
6.4 医療人工知能とその発展の歴史
 6.4.11 980年代の医療人工知能の興隆
 6.4.2 ニューラルネットワーク―期待と失望の反復―
6.5 ディープラーニングの革命性
 6.5.1 ディープラーニングによるビッグデータからの「教師なし学習」
 6.5.2 内在的特徴を自ら学ぶオートエンコーダー方式の発明
6.6 ディープラーニングによる医療のAIの応用
6.7 AI医療の未来
 6.7.1 医療に応用される人工知能の今後の発展
 6.7.2 医療AIは医師を無用にするのか
6.8 ビッグデータ・AI時代における医学・医療の第三次変革
 6.8.1 医学研究におけるビッグデータ・AIによる大変革―ビッグデータ医療時代の「データ駆動」型医学―
 6.8.2 ビッグデータ・AIがもたらす次世代医療のパラダイム
6.9 未来の医療に向けて
 6.9.1 未来の医療への新しい傾向
 6.9.2 ビッグデータ・AI時代における未来の医療―医療の真のDX化―

付録
A.1 ヒトの生命情報のデータベース概要
 A.1.1 基本的な公共バイオデータベース
 A.1.2 よく言及されるバイオデータ関連サイト
A.2 次世代シークエンサーの基本的情報処理
 A.2.1 基本的情報処理過程で産出される各種ファイル
 A.2.2 参照配列へのリード配列のマッピング
A.3 遺伝統計学の実際
 A.3.1 パラメトリック連鎖解析
 A.3.2 ノンパラメトリック連鎖解析
A.4 「網羅的分子表現型」とeQTL解析
A.5 遺伝子発現プロファイルから生体分子ネットワークの推定法
 A.5.1 遺伝子間制御ネットワーク
 A.5.2 その他の統計的手法に基づく遺伝子調節ネットワークの推定アルゴリズムと
アルゴリズムの精度の比較
 A.5.3 偽相関によるfalse positiveな制御関係の除去を行う手法
 A.5.4 より網羅的でかつ高精度な遺伝子調節ネットワークの推定をするための方法
引用・参考文献
索引

感想・レビュー

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レビュー一部 本書はゲノム・オミックス解析の分野について理解するために必要な背景知識をわかりやすくまとめ、分野が発展した歴史や研究手法についても触れています。また、著者の研究室での研究成果を例に挙げ、新規標的因子の発見や治療法の開発といった、オミックス情報解析が実臨床に応用されるまでの筋道が解説されていることで、当研究分野が目指すゴールを具体的に把握でき、内容理解の一助となりました。 全文あり https://www.coronasha.co.jp/np/isbn/9784339072792/ 2023/03/20

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