内容説明
本書では,自動車や強電用途の圧粉磁心とボンド磁石について,自動車に関係する技術を主として,研究開発に有用な技術や知識,またこれらの材料の基礎から具体的な応用までを網羅的に解説している。
目次
1.序論
1.1 圧粉磁心とボンド磁石について
1.2 電磁気学および磁性材料に関係する科学技術の歴史
1.3 自動車の歴史
1.4 磁性材料の発展に向けて
2.磁性概論と強磁性材料
2.1 磁気の単位
2.2 電磁気学の基礎
2.2.1 ボルタの電池
2.2.2 クーロンの法則
2.2.3 ガウスの法則
2.2.4 エルステッドの発見
2.2.5 ビオ・サバールの法則とアンペールの法則
2.2.6 ファラデーの電磁誘導の法則
2.2.7 マックスウェルの方程式
2.2.8 電磁気により物質間に発生する力
2.3 強磁性体の起源
2.3.1 電子と磁性の関係
2.3.2 原子,イオンに局在する電子の磁性
2.3.3 強磁性の起源(磁気モーメントが揃う理由)
2.3.4 遍歴電子による磁性
2.4 磁気特性による物質の分類
2.4.1 常磁性体
2.4.2 反磁性体
2.4.3 反強磁性体
2.4.4 強磁性体:フェロ磁性体
2.4.5 強磁性体:フェリ磁性体
2.5 強磁性材料の特性
2.5.1 強磁性材料の磁化曲線
2.5.2 磁気異方性
2.5.3 磁区構造
2.5.4 単磁区粒子
2.5.5 永久磁石の保磁力機構
2.6 磁気損失(鉄損)
2.6.1 ヒステリシス損失
2.6.2 渦電流損失
2.6.3 外部応力の影響
2.7 強磁性材料の温度依存性
3.実用化されている強磁性材料の特性と評価方法
3.1 本書で扱う強磁性材料について
3.2 軟質磁性材料
3.2.1 Fe(純鉄,電磁軟鉄など)
3.2.2 鉄鋼材,圧延鋼板
3.2.3 鉄合金系
3.2.4 アモルファス合金およびナノ結晶材料
3.2.5 金属ガラス
3.2.6 酸化物系
3.3 硬質磁性(永久磁石)材料
3.3.1 鉄鋼系磁石材料
3.3.2 鉄酸化物系磁石材料(フェライト系)
3.3.3 希土類磁石材料
3.3.4 その他の金属間化合物系
3.4 磁性材料および磁性粉末の評価方法
3.4.1 磁気特性の評価方法
3.4.2 粉末特性の評価方法
3.4.3 粉末成形体の評価方法
4.磁気応用部品・機器の動作原理
4.1 電磁気工学の基礎
4.1.1 コイル
4.1.2 磁束の発生と逆起電力
4.1.3 コイルのインダクタンスと磁気回路
4.1.4 磁気エネルギー
4.1.5 コイルの電気的な動作
4.2 反磁界とギャップの影響
4.2.1 反磁界
4.2.2 磁気応用に及ぼすギャップの影響
4.2.3 漏れ磁束・フリンジング磁束の影響
4.3 モータ
4.3.1 直流モータ
4.3.2 ブラシレス直流(BLDC)モータ
4.3.3 誘導モータ
4.3.4 SRモータ
4.3.5 モータの出力
4.4 電磁弁
4.4.1 電磁弁の動作特性
4.4.2 電磁弁の開閉速度
4.5 リアクトル
4.5.1 DC-DCコンバータ用リアクトル
4.5.2 変圧器(トランス)
5.磁性複合材料:圧粉磁心とボンド磁石
5.1 圧粉磁心とボンド磁石
5.2 複合材料の考え方
5.3 磁性複合材料:圧粉磁心とボンド磁石
5.4 圧粉磁心の長所と短所(特徴),利用分野
5.4.1 等方的な特性(3次元磁気回路の利用)
5.4.2 高電気抵抗率(高周波化による効率向上・小型化)
5.4.3 生産時の歩留りが高い
5.4.4 磁歪の低減(磁気騒音の低減)
5.4.5 磁束密度および透磁率の低下
5.4.6 ヒステリシス損失(保磁力)がバルク材に比べて大きい
5.4.7 機械的強度が低い
5.4.8 圧粉磁心の利用分野
5.5 ボンド磁石の長所と短所(特徴),利用分野
5.5.1 磁石特性は,原料磁石粉末より必ず劣る
5.5.2 生産時および使用時の形状自由度が高い
5.5.3 着磁方向の自由度が高い(等方性ボンド磁石の場合)
5.5.4 高電気抵抗率(低渦電流損失)
5.5.5 ボンド磁石の利用分野
6.圧粉磁心およびボンド磁石の作製方法と特性
6.1 はじめに
6.2 圧粉磁心用磁性粉末
6.2.1 粉末作製プロセス
6.2.2 圧粉磁心用磁性粉末の種類と特徴
6.3 圧粉磁心用絶縁被膜の種類と特徴
6.3.1 リン酸塩系被膜
6.3.2 アルカリ土類(希土類)-ホウリン酸塩被膜
6.3.3 SiO2系,Al2O3系およびMgO系被膜
6.3.4 フェライト被膜
6.3.5 その他の酸化物系被膜および複合絶縁被膜
6.4 圧粉磁心とボンド磁石用バインダ(結合剤)
6.4.1 樹脂・高分子系バインダ
6.4.2 無機バインダ
6.5 圧粉磁心とボンド磁石の作製プロセス
6.5.1 粒度調製と混合
6.5.2 成形
6.5.3 熱処理
6.5.4 加工
6.5.5 後処理
6.5.6 着磁
6.6 圧粉磁心の基本特性
6.6.1 飽和磁化および高磁場での磁束密度
6.6.2 透磁率および低磁場での磁束密度
6.6.3 保磁力
6.6.4 損失
6.6.5 機械的特性
6.6.6 耐食性
6.7 報告されている圧粉磁心の特性
6.7.1 純鉄粉末系
6.7.2 鉄合金粉末系
6.7.3 アモルファス合金・ナノ結晶材料・金属ガラス系
6.7.4 異方性圧粉磁心
6.8 市販されている圧粉磁心の特性
6.8.1 ヘガネスジャパン
6.8.2 神戸製鋼所
6.8.3 昭和電工マテリアルズ(旧日立粉末治金)
6.8.4 大同特殊鋼
6.8.5 住友電気工業
6.8.6 ダイヤメット
6.8.7 エプソンアトミックス
6.8.8 アルプスアルパイン
6.8.9 その他
6.9 ボンド磁石の基本特性
6.9.1 磁気特性
6.9.2 電気抵抗率
6.9.3 機械的強度
6.9.4 耐食性
6.10 市販されているボンド磁石の特性
6.10.1 ボンド磁石の生産概況
6.10.2 マグネトプランバイト(M)型フェライト系
6.10.3 Nd2Fe14B系
6.10.4 Sm-Fe-N系(Sm2Fe17N3およびSmFe7N)
6.10.5 混合系
7.圧粉磁心とボンド磁石の応用
7.1 磁気応用部品・機器から圧粉磁心とボンド磁石に求められる特性
7.2 圧粉磁心を使用したリアクトル
7.2.1 直流送電システム用アノードリアクトル
7.2.2 HV用DC-DCコンバータ用リアクトル
7.2.3 ガソリンエンジン点火用コイル
7.2.4 高スイッチング周波数DDコン用リアクトル
7.3 圧粉磁心を使用したモータ
7.3.1 自動車ABS用モータ
7.3.2 自動車駆動用モータ
7.3.3 その他の圧粉磁心を使用したモータ
7.4 圧粉磁心を使用した電磁弁:ディーゼルエンジン用コモンレールシステム
7.4.1 ディーゼルエンジン用コモンレールシステムの概要
7.4.2 電磁弁を使用したコモンレール式噴射弁
7.4.3 圧粉磁心を使用した噴射弁の開発
7.5 ボンド磁石を使用したモータ
7.5.1 電動アクスル
7.5.2 インバータ冷却用電動ウォータポンプ
7.5.3 電動シート用モータ
7.5.4 その他のボンド磁石を使用したモータ
付録
A.1 重要な定数と物性値,および磁気関係の換算式
A.2 金属の電子伝導度
A.3 規則-不規則転移
A.4 アモルファスとガラス
A.5 焼結
A.6 液相焼結
A.7 コイルの巻数とモータ駆動電流,電圧の設定
A.8 金属表面の酸化挙動
引用・参考文献
索引