内容説明
地味で平凡なところを買われ、大手化粧品メーカー・最川堂に入社した朝井詩央が配属されたのは総務部。単調な業務の合間に社員の愚痴を聞いているうち、いつしか『愚痴聞き地蔵』のあだ名で呼ばれるようになる。ある日、社長直々に呼び出された詩央は、その存在感のなさと聞き上手を武器に「次期社長候補三名の調査をせよ」と密命を下される。提示された特別報酬に目がくらみ、アイドル的人気を誇る営業部の若手エース・七星悠馬、どんなクレーマーも美声で黙らせる敏腕コールセンター所長・兵藤光淳、革新的なアイデアでブランド刷新を推し進める商品開発部のエリート・唐飛龍の隠密調査に乗り出すが!?
目次
第一章 責任を果たせば、平社員でも特別賞与を支給します。
第二章 劇場開幕、主役は誰?
第三章 仏の顔は何度でも?
第四章 最川堂の救世主、そして失礼を地でゆく男。
第五章 養子たちの大ピンチ
朝井洋平、そろそろ本気を出す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
30
地味で平凡なところを買われ、大手化粧品メーカー最川堂の総務部に配属された朝井詩央。社長直々に呼び出された彼女が存在感のなさと聞き上手を買われて密命を下されるお仕事小説。業務の合間に社員の愚痴を聞いて『愚痴聞き地蔵』呼ばれる彼女が、社長から下された「次期社長候補3名の調査をせよ」という密命。隠密とも呼べないレベルの調査で明らかになる、それぞれが有能だけど癖の強い候補者たち。さらに不穏な動きからお家騒動に巻き込まれてゆく展開でしたけど、詩央も地味なりにしっかりといい仕事をしていて存在感を見せてくれていました。2024/01/18
栗山いなり
9
地味で目立たない社員・朝井詩央が次期社長候補の選定に巻き込まれることになるお仕事小説。現代を舞台にしたせいか廃墟シリーズよりもコメディ色が強い気がする。とはいえ終盤はどこか廃墟シリーズを思わせる展開になってたり世相も反映してたりしてそこが良かったな。それと、これもシリーズ化するんかね?2024/02/25