内容説明
日本小説の祖・曲亭馬琴、「八犬伝」を生んだ劇的人生!
200年の時を超え、作家の本分に迫る傑作長編!!
大名の家臣の家に生まれるも何一つままならず、彷徨い続けた青年時代。放浪の末、当代一の戯作者・山東京伝の門をたたき、蔦屋重三郎の店に奉公して戯作の道に踏み出す。葛飾北斎らとの交誼を経て、馬琴はやがて江戸随一の戯作者となりおおせるのだが……
妻は不安定、愛する息子は柔弱、『南総里見八犬伝』に着手するも板元とはトラブル続き。それでも馬琴は、武家である滝沢家再興の夢を捨てず、締切に追われながら家計簿をつけ、息子とともに庭の花園で草花を丹精する。
狷介で知られた馬琴の素顔、けなげな哀歓が鮮やかに蘇る。苦難の末、大戯作者が辿り着いた花園とは?
目次
第一章 ある立春
第二章 神の旅
第三章 戯作者
第四章 八本の矢
第五章 筆一本
第六章 天衣無縫
第七章 百年の後
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
228
朝井 まかては、新作中心に読んでいる作家です。滝沢馬琴や『南総里見八犬伝』は知っていましたが、その物語は初読です。江戸時代の大戯作者には、ドラマがありました。水滸伝は既読なので、何時か『南総里見八犬伝』を読んでみたいと思います。 https://bookplus.nikkei.com/atcl/catalog/23/12/11/01168/2024/02/28
旅するランナー
190
狷介·不遜と謗られようとも、一個の作者として屹立した、曲亭馬琴の生涯。版元蔦屋重三郎や東洲斎写楽との関係性が面白い、破竹の勢いの頃。士分へのこだわりや家族関係の煩いに苦悶しながらも、南総里見八犬伝を書き上げていく後半。そんな日本の小説の祖の思いを受け継いだかのような、読みごたえのある作品。馬琴が日本人を読書好きにしてくれたんですね。2024/06/09
ちょろこ
134
濃く伝わる一冊。あの有名な南総里見八犬伝 を世に生み出した滝沢馬琴のヒストリーを少年時代から緻密に描いた物語。偏屈なイメージをさらに濃く味わえた。そしてここまで滝沢家、家族を両方を背負っての執筆だったとは。彼の気苦労がこれでもかというぐらいに濃く伝わってきた。妻も強烈。幾度の家移りや家族の病、版元との不協和と、まさにトラブルのデパート。だもの、自分を執筆だけに集中させて欲しい思いには同情したくなる。何百年も、この先もずっと咲き続ける物語を種蒔き、育てあげた馬琴に、一言、おつかれさまと声を大にして言いたい。2024/05/19
KAZOO
125
朝井まかてさんの滝沢馬琴の生涯をつづったもので新聞に連載されていたものです。題名が…、という感じもしましたが、花などを眺めていると気が心の休まるときだったのでしょうね。武家の家に生まれたものの、自分の仕えた先から逃げてしまいます。その後放浪の後に山東京伝に弟子入りし戯作者としての道を歩んでいきます。妻との不和がある中でも辛抱しながら「南総里見八犬伝」を書き続けて元武士としての矜持を持ちつつ滝沢家再興に尽力していきます。木内昇さんの「雪夢往来」と一緒に読むといいですね。2025/06/22
のぶ
122
今回、まかてさんが物語のテーマに選んだ人物は曲亭馬琴。その生涯を堪能させてもらいました。理不尽な仕打ちに耐えられず、武家奉公を捨てて出奔した滝沢興邦(後の曲亭馬琴)。山東京伝の知古を得、紆余曲折を経て戯作者に収まった馬琴だったが、武士のプライドを捨てられない。癇癪持ちで言葉に毒がある妻・百との夫婦喧嘩も絶えない。超売れっ子作家になっても一向に平穏な日々を得られない馬琴。当時としても超大作であった「南総里見八犬伝」がいかに世に出されたかがよく分かり、その過程においての人間・曲亭馬琴がよく描かれていた。2024/03/02
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