集英社文芸単行本<br> わたしは異国で死ぬ

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集英社文芸単行本
わたしは異国で死ぬ

  • ISBN:9784087735260

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内容説明

2022年度ニューヨーク公共図書館若獅子賞受賞作

大勢の平和的抗議者たちが特殊部隊ベルクトに攻撃され、負傷者や死者が出ている。ウクライナは事実上、非常事態となっていた……。

ボストンから来たウクライナ系米国人女性医師、チョルノービリ原発近郊出身の鉱山技術者、かつてFEMENに参加した青い髪の女性活動家、独立広場でピアノを弾く元KGBスパイの老人、そしてジャーナリストたち……。
冬のウクライナ、首都キーウで交錯する、それぞれに過去を抱えた人々の運命。激動の時代を背景に展開する喪失と希望への物語。
史実とフィクションで織りなす、圧巻のデビュー長篇小説。
(原題 I Will Die in a Foreign Land)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヘラジカ

42
「ウクライナでは、へその緒は絞首刑の縄になる。」この衝撃的な一文は、旧ソ連時代、マイダン革命、ロシアのクリミア侵攻、そして現在の状況に至るまでを考えると全く以て大袈裟なものではない。複数の登場人物、錯綜する時間軸が詩的で淡々とした言葉によって語られる物語。しかし、力強い表現、史実や実際の「名簿」などを織り交ぜた野心的な構成により、作家の”熱”を随所で感じられる作品でもあった。これからの活躍にも期待を持たせるデビュー作。2024/02/03

もぐもぐ

35
2014年にウクライナで起きたマイダン革命が舞台。ボストンからキーウに医療ブランティアで来たウクライナ系米国人のカーチャを起点に、革命の中で様々な人が交錯していく。ホロドモール、チョルノービリ事故、クリミア併合やドンバス侵攻、「石炭と小麦で豊かな土地は、血に満ちている」という言葉が重く響く。この本を理解するには私はあまりにもウクライナの歴史を知らなすぎた。もっと学んでから再読したい。読み応えありました。2024/03/16

星落秋風五丈原

18
ウクライナって今いきなり攻撃を受けているのではなく古くはマイダン革命もっと遡ればチェルノービリの負の歴史も背負ってしまっているのか。タイトルはウクライナ民謡の一説。戦争が続けば逃れた人はみなこうなってしまう。皆祖国で生き死ぬ。マイダン革命の頃のウクライナが舞台。2024/03/03

CHACK

4
たいへんに読みごたえのある作品。プロローグや何度か触れられるストラヴィンスキーの「春の祭典」などから、長い長い舞台を観たように感じるけれど、モノクロ映画だったようにも感じる。ごく短い「あとがき」に、本を持つ手に力が入った。2024/02/18

kan143

2
2014年のウクライナを舞台に、さまざまな人々の人生が交錯する。そして最後にお互いの関係が読者には明かされるのだけど、登場人物たちは気付かないまま。 東部の分離独立派は形式上内政問題だったから仕方ないけど、クリミア併合だけでも当時の国際社会がちゃんと対応できていれば、今の状況もなかったなじゃないかと思いつつ読んだ。2024/03/25

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