岩波新書<br> ドキュメント 異次元緩和 - 10年間の全記録

個数:1
紙書籍版価格
¥1,056
  • 電子書籍
  • Reader
  • ポイントキャンペーン

岩波新書
ドキュメント 異次元緩和 - 10年間の全記録

  • 著者名:西野智彦
  • 価格 ¥1,056(本体¥960)
  • 岩波書店(2024/01発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 270pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004319979

ファイル: /

内容説明

世界的に例を見ない政策の舞台裏を徹底検証.黒田東彦日銀総裁の誕生秘話,「二並び」の背景,リフレ派の暗躍,知られざるドル危機の真実,唐突な政策修正の謎,YCC終結をめぐる攻防,初の学者総裁選出の経緯など.初めて開示される事実の数々から,当局者たちの思惑や動向,苦渋の決断に至る様が生々しく浮かび上がる.

目次

プロローグ
第一章 「レジーム・チェンジ」の衝撃
喜んで,とは言えないが
追い詰められた中央銀行
共同声明,ぎりぎりの攻防
安倍の「一本足打法」
リフレ派とのめぐり逢い
大御所の画策
共同声明,苦渋の受諾
戦争せずにデフレ脱却を
岩田か,それとも黒田か
テクノクラート人事の政治化
指折りの“日銀バッシャー”
本田邸での祝勝会
“異端児”の逆襲
日銀法に「独立性」はあるか
第二章 「衝撃と畏怖」作戦
新総裁のファイティングポーズ
体制転換の波紋広がる
二を並べて,パネルを作れ
絶対に無理と言うな
「衝撃と畏怖」作戦始まる
ミッドウェーまで行かなきゃいいが
総裁は「ガハハハ」と笑う
「デマケの総裁」の領空侵犯
消費税と「どえらいリスク」
リフレ派の総裁批判
「バズーカⅡ」放たれる
徹底した隠密行動と秘密主義
OBの反発,官邸の疑念
財政再建こそが命綱
異次元緩和に潜む魔力
「量の次はマイナス金利」
長期戦か,出口の一歩か
追い詰められた企画ライン
第三章 船を乗り換える時
マイナス金利の「発煙弾」
黒田体制,最初の危機
高まる不協和音,財務省の懸念
船を乗り換え,持久戦へ
「非伝統的政策」の正統性
「打ち出の小槌」は存在しない
「ポスト黒田」のうごめき
総裁は再任できないのか
ほどほどの物価上昇が心地よい
YCC修正と若田部の抵抗
バランスシート膨張のジレンマ
「反省の弁」と新型ウイルス
電光石火のドル危機回避
第四章 予想もしない結末
米国がYCCを避けた理由
連携強化への「追加注文」
安倍退陣,菅への急接近
「マイナス金利って何だったんだ」
ピュア・セントラルバンクの行方
リフレ派,天王山での敗北
戦争と円安の始まり
総裁の失言,空売りを呼ぶ
安倍元首相の死
止まらぬ円安,埋められた外堀
相場観と勝負勘
市場の反乱,雨宮の「集大成」
後任人事もサプライズ
反省もなく,思い入れもなく
託された「宿題」
「地獄」からの出口
エピローグに代えて
初の学者総裁,誕生の裏で
本命候補のレース離脱
諦めきれなかった首相
年表 異次元緩和の歴史

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

koji

17
本書は、過去10年の「日銀の異次元緩和」の当事者達の言動を具に追い、その功罪を検証した良書。中でも肝心要の黒田前総裁の言動の記述が秀逸。これは日経新聞「私の履歴書」(2023年11月)を併せ読むと更に鮮明になります。黒田さんがカールポパー信者であることは夙に有名ですが、これに碧海純一、大森荘蔵、Jヒックス等の思想を重ね合わせ、黒田さんの人生を追いかけると、黒田さんがぶれずに異次元緩和を突き進めた「心」がうっすら見えてきました。私が感じた沢山の思いから一つだけ。一度開けたパンドラの箱はどんな人も閉められない2024/03/07

すのさん

8
日銀による10年間にわたった異次元緩和をドキュメント仕立てで描く。日銀内での勢力争い、ポスト争奪戦。異次元緩和の裏では濃厚な人間ドラマが垣間見られ、大変読みやすく面白かった。「①異次元緩和の誕生と変貌、②「リフレ派」と呼ばれる論者たちの勃興と退陣、③路線転換をめぐる水面下の攻防」以上三つのテーマを時系列で記録している。財政と金融のバランス、金融が扱うべき範囲の考え方が人によって異なるのが気になる。黒田総裁下、日銀主導で行われた政策はほぼ財政ファイナンスといえるように思える。2024/04/11

駒場

8
「2年で物価上昇率を2%にする」と豪語して日銀へやってきた黒田総裁の10年間(!)の異次元緩和の記録。う~んドラマが多い。金融緩和だけでデフレ脱却できると信じていた安倍とリフレ派(麻生らの説得で「三本の矢」としたが)、そして「日銀に独立性などない。自主性があるだけだ」という黒田は相性がいい、はずだった。しかし主計局幹部が茶化したように「真珠湾」だったはずの異次元緩和は次第に「ミッドウェー」の様相を呈してくる。最後は安倍が金融緩和への興味を失い、リフレ派の重鎮・浜田が「考えが変わった」と述べるに至る……2024/01/21

Yuichi Tomita

7
黒田総裁の10年の軌跡を追ったもの。やはり最初のバズーカの印象が強く、YCCを導入してからはよく分からないという感じだったが、この本でマネタリーベースから金利に移行せざるを得なかった理由がわかってきた。マイナス金利については、サプライズ導入も含めて個人的には意味があったのかはよく分からない。 直近の植田総裁の選任過程も触れられていてそこも良かった。リフレ派が影響力を失っていく過程もよく分かる。2024/01/26

Kooya

5
2010年代以降の金融政策を関係者への取材を交えながら振り返った本。政策実行の裏側で行われた当事者同士の駆け引き等にも触れており、読み応えがある。大規模な金融緩和を求め、2%の物価目標を非常に重視した安倍元首相が首相在任末期に金融政策への関心を無くす様は、人間の考え次第で政策は如何様にもなるということを示した事例だと思った。(コメント欄へ続く)2024/02/23

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/21685722
  • ご注意事項