内容説明
生まれ育った東京を離れ,家族で兵庫県北の小さな町に移り住んだ理由は「転勤」!演劇と観光の学べる専門職大学の開学,国際演劇祭の開催….新たな共同体をつくる試みは,コロナ禍や市長選の対立構造に翻弄されていく.芸術や文化による地域の再生は可能か?町に新しい風は吹いたのか?濃密に語られる三年半の記録!
目次
まえがき
第1章 移住まで――コウノトリの郷へ
第2章 見えない敵と戦う――コロナ禍のはじまり
第3章 幕が上がる――豊岡演劇祭開幕
第4章 大学を開く――芸術文化観光専門職大学創設
第5章 演劇の町なんかいらない――豊岡市長選挙
第6章 挑戦は続く――明けない夜はない
終章 希望の風――この一年
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
50
平田オリザさんの著作は、以前から読んでいて、頷けるyことが多い。自分自身が、自分が住む地域のことに、これまで以上に関わり始め1年半。今更、ハコモノの時代でもなく、地域を考えると、これからは文化の2文字がキーワードだと考えてやってきた。そこの基本思想を、裏付けてもらえた感じがする。地域共生ということを地元の自治体も進めているが、そのためには、広く薄くという視点が必要だと考えているし、一方で、小さな変化を数多く起こすための仕掛けや人的ネットワークの重要性も痛感している。2023/12/02
ころこ
43
但馬とは兵庫県豊岡市のことで、緩やかな旅日記などではない。演劇による町おこしの奮闘記だ。大きく3つに分かれる。①日本初の演劇学部を設けた新設大学に携わることを通じた教育の問題。②人口減少社会における演劇と観光による町おこしとその路線対立が招いた政治の問題。③都会育ちの著者の田舎での子育て体験記。19年から始められたプロジェクトは直ぐにコロナに阻まれる。移住のきっかけをつくってくれたのは前市長との縁があってのことだが、何とその市長が21年に選挙で敗れる。争点を象徴する言葉は「演劇のまちなんかいらない」だ。地2024/01/16
うえぽん
31
豊岡で著者の芸術文化観光専門職大学学長としての話を聞き、購入。偶然の積み重ねから家族で引っ越してまで同大学の開学と国際演劇祭の開催に漕ぎ着けた数年から、コロナ禍と改革派市長の落選に翻弄された様子を具に記す。若い時に「俳優は交換可能」と主張して強い批判に晒されたとするが、出産育児を社会が後押しする時代にはどんな社員も交換可能と考えるべきであろうし、「異なる価値観を異なったままに新しい共同体を作る」ことは未来の住民の受容に繋がる。強固な共同体から緩やかなネットワーク社会への再編成が必要とした点も首肯できる。2023/12/03
ノコンギク
9
「菅原直樹」さんの書いた記事を雑誌で見て,芋づる式に『わかりあえないことから』で感銘を受けた平田オリザにたどりついた。図書館本。演劇なんて特殊なこと。私が豊岡市民なら反対派の市長候補に投票しただろうなと思いながら読んだ。が,演劇も観光も芸術も活性化の大きな要素だと考えさせられた。読了した日,いつも行くスーパーでご当地出身の監督,脚本家など「ご当地」満載の映画のポスターを見た。文化,演劇,芸術に程遠い生活の私でも,そんなポスターに目が留まる。演劇による文化の発信。自己表現のツールとしての演劇がしたくなった。2024/04/26
Tatsuya Hirose
5
【但馬日記】 初めてオリザさんを知ったのは、1983年の京都での予備校時代だった。このときどんな参考書よりも読み込んだ本がオリザさんの「受験の国のオリザ」。翌年、東京の大学に進学した僕は30年以上東京で暮らすことになる。そして、2019年、オリザさんは東京から但馬・豊岡市へ移住。なんとも不思議な気持ちになった。この本は移住者・オリザさん視点で但馬の様子が丁寧に描かれている。「演劇のまちなんかいらない」というフレーズで現豊岡市長が当選した豊岡市選挙に関わる、オリザさんしか描けないお話しが一段と興味深い。 2023/12/02
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