計測の科学 - 人類が生み出した福音と災厄

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計測の科学 - 人類が生み出した福音と災厄

  • ISBN:9784806716617

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内容説明

「タイムズ」紙サイエンスブック・オブ・ザ・イヤー選出!
「ニューヨーカー」誌2022 年ベストブック選出!
「ロサンゼルス タイムズ」紙 書籍賞 科学 & テクノロジー部門ファイナリスト!

キュビットからキログラム、ミリメーターから光の速度に至るまで、計測することは、人間が世界を理解するために発明した強力なツールだ。

科学と社会史に関するこの啓示的な作品で、著者はその隠された世界に飛び込み、
ナイル川の年間を通しての深さを測定することが重要な任務であった古代エジプトから、
フランス革命におけるメートル法という知的起源にまで読者を誘う。

そしてメートル法とインチ・ヤード法との間の驚くほどの対立から、現在のGoogleなどによる「数値化された自己」の時代まで、あらゆる場面で計測がもたらす政治的影響を鋭く捉えており、測定が抑圧と統制のツールとしてどのように使用されてきたかを科学的に探求する。

本書は、計測が、私たちの世界経験とどのように深くかかわっているかだけでなく、計測の歴史が、人類の知識の探究をどのように包み込み、形作ってきたかを、余すところなく描く。

目次

はじめに
キログラムの定義見直し
計測するのは人類だけ
権威を増す計測
不均衡の解消
偽りの客観性

第1章 文明の発展と計測
ナイルの豊かさを計測する
文字と数と計測の発明
神の意志と計測
最初の単位

第2章 融通の利く計測
商人の計測、王の計測
計測の融通性
信仰と計測
地域独自の計測法

第3章 世界を測る
計測と近世初期の精神
古代ギリシャ人と数字
アリストテレスとオックスフォードの計算者たち
芸術、音楽、時間を計測する
時計仕掛けの宇宙

第4章 計測基準を定める
世界を解剖する
温度をとらえる
不動点を決める
絶対零度
エネルギーとエントロピー

第5章 メートル革命勃発
公文書館のメートルとキログラム
地球は横長の楕円形
イデオロギーと抽象化
一日は十時間

第6章 世界じゅうを区切る
四角に区切られた大平原
境界を検分する
西に広がる四角い区画
先住民の破滅
地図と領土

第7章 生と死を測定する
死亡統計表
統計学の胎動
平均人の誕生
平均値と異常値
優生学とIQ

第8章 メートル法に抗う人々
計測自警団
ナショナリズムと国際主義
ピラミッドは万国共通の測定単位
道標を襲撃する

第9章 すべての人たちのための計測
役目を終えたキログラム原器
計測学者、チャールズ・サンダース・パース
計測精度の高まり
光でメートルを定義する
マイケルソンとモーリーの失敗
新定義の誕生

第10章 管理される日常
規格化されたピーナッツバター
大量生産、戦死者数
自己の定量化
科学的根拠のない一万歩

おわりに 頭のなかの測定器

謝辞
訳者あとがき
注釈
索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

やすお

8
度量衡の統一が商業的、政治的、科学的にも重要なのは理解できる。メートルやキログラム、秒がどのように定義されたのか、その必要性や背後にある政治的な話まで含めて解説している。なんとなく知っていることもあるが、詳細を知れたのが良い。度量衡は全世界で統一されるのが望ましいが、米国などはまだ完全にメートルなどの単位に移行しきれていない現状がある。自然発生的に便利に使えている単位が根付いている現状も分かった。では、どうすればグローバルで日常生活を含めて度量衡統一ができるのかの考察がなかったのが残念なところだ。2024/05/06

ゼロ投資大学

2
「計測」は、言語や娯楽と同様に認知能力の礎になった。測量技術は時代を超えて改良が繰り返され、より良い計測方法が模索され続けてきた。計測を正確に行えることと多くの人に正しい計測の恩恵を受けられるようにすることは確かに有益であると感じた。2025/05/01

cafework

1
計測が歴史上でどのように議論されてきたか、当たり前と思っている1メートルに込められてきた先人の努力が理解できた。 計測することで作られてきた世界がある反面、計測できることに注目しすぎることの危なさも歴史から学べるとよいと思いました。2024/09/23

やっこ

0
計測は決して客観的な行為ではなく、常に社会的権力構造と政治的意図に影響される、極めて政治的なツール 計測は一方で科学技術の発展、国際貿易の促進、医療の進歩といった文明の発展に不可欠な基盤を提供 同時に、植民地支配、優生学、差別と排除のシステムといった抑圧的な統制手段としても機能2025/09/02

karath__

0
色んな国や文明の計測の歴史を凝縮したような内容だった。正直自分には内容が多くて難しかった印象。(文字でぎゅうぎゅうに敷き詰められているんよな。。。) エントロピーという言葉を作って、全てのエネルギーは終わりに向かっているという解釈が、世の中にパニックを引き起こして色んなフィクションの物語がそこから作られていったというのは印象的だった。 いままで計測できなかったものが計測出来るようになることは、便利且つ、知らなくていい事も知ってしまった不幸でもあったんだなと思った。SNSのいいねとか正にそれじゃないかな。2025/05/02

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