内容説明
老漁師サンティアーゴには、もう84日間も釣果がなかった。幼い頃から老人の見習いをしていたマノーリンは、一人前の漁師となったいまも老人を慕い、生活を気づかう。老人はそんなマノーリンをたのもしく思いながら、まだ自身のプライドも捨ててはいなかった。
翌朝、ひとりで漁に出た老人の釣縄に、巨大なカジキがかかる。そこから、老人とカジキの命を賭けた闘いが始まった。不眠不休の極限を超える死闘のなかで、老人は次第にカジキへの畏敬の念と、強い絆を感じるようになっていく。やがて運命の瞬間が訪れ、満身創痍となった老人に、しかし海は、さらなる試練を課すのだった――。
簡潔な文体と研ぎ澄まされた表現で、大いなる自然と自らの人生に対峙する男の姿を力強く描きだす、ヘミングウェイの最高傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゃお
35
越前敏弥さんによる新解釈版。少年と若者でだいぶ印象が変わりますね。昔々に読んだきりだったけど、こうやってまた読める機会が得れたのも良かったです。今度ある越前さんの講演会も楽しみです。2024/02/16
Kooheysan
11
老人(サンティアーゴ)と若者(マノーリン)の交流、そして老人の、自分の存在をかけた海上での格闘の話。すごい夢中になって読んだ、というよりは読んだ後にじわじわと染み渡っていくような印象というべきか…。「それに、男にとって痛みなど些細なことだ」「『しかし、人間は負けるようにはできていない』老人は言った。『叩きのめされることはあっても、負けはしない』」。長くひとつのことに従事してきた人の独り言は印象深いです。有名なところでも新潮版、光文社古典新訳文庫版などがあり、ざっと見ても少し違いが分かります。2024/03/03
おだまん
7
新解釈にて。確かにこちらの方がしっくりくるような気がする。2024/02/12
佐々木大悟
5
英語版を読みながら、自分の解釈が不安になったので副読本として購入。他の日本語訳と比べたわけではないので、訳本としての評価は差し控えるが、訳書にありがちな不自然さや原作との乖離は全く感じられず読みやすかった。マノーリンの「The boy」を「若者」と解釈したのも適切だと思う(実際「boy」って日本語の「少年」より広い意味だしね)。巻末の倉林秀男氏による作品解説を頭に入れてもう一度読むと、新たな発見があるかもしれない。2024/09/17
志村琴音
5
最初は「え? 何で『少年』を『若者』にしたんだよ⁉︎」と思っていたら、解説を読んで凄く腑に落ちたし、本文を読んでいても全く気にならなかった。 その上、越前先生の作った文体は読みやすくて、スッと内容が入ってくる。 最後には、この訳が一番好きだと言えるくらいになった。 読んだことがある人にもそうでない人にも読んでほしい一作。2024/08/09