内容説明
怪異に遭遇した生の声の数々
「隠れてたんじゃない。身体が右半分しかなかったんです」
ひょろひょろとした白髪の老人が物陰から… 収録話「こっち側」より
体験者の口から紡がれる生の怖い話
怪談が生まれる現場を目撃する!
「ご自身や家族の不思議な体験を聞かせてもらえませんか?」
黒木あるじは怪談語りの催事の場で客たちに訊いてみた。
すると、リアルに語られるのは底知れぬ不気味さを孕んだ怪異ばかり。
・幽霊の出没が噂される場所で出会ったのは…「みえてますよね」
・遊んでいた人形が歩きだし…「おまえのせいで」、夜遅くに車で帰る道、電話ボックスにいたモノが…「あしあと」
・冬の夜の道、近所に住む男性と出会い…「屍人坂」
・橋から川に人が飛び込んだ!通報が頻発するわけとは…「月命日」
――など、聞くも怖気、語るも怖気な75話。
怪談はこうやって生み出されていくのか!あなたも体験者となる!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
62
実話怪談集。2021~2023年まで著者が参加したイベントで採集した話をまとめた一冊となっている。実話怪談の特徴としては誰かが語った話というのが前提になっているので、それとどう向き合うのかが大きな比重を占めている部分があると思う。百物語や『遠野物語』も語りが中心なので、怪談全ての問題かな。本書はそんな実話怪談でも語りのライブ感に拘ったものと言えるだろう。ただ人が語った現場感に重きが置かれ脚色はほぼ施されていないので、一つ一つの話の印象は弱め。数多ある実話怪談で斯様な形式を出せるのも著者ならではだなあ。2024/02/12
ネムコ
26
怪談売買所系の、黒木さんがイベントに参加した時来てくれた参加者から聞き取ったお話。ちゃんと取材したわけじゃないから軽くて短いのだけれど、そういうイベントに参加するくらいだからなかなか良い体験談をお持ちの方が多くて口許が緩む。それにしても黒木さん、地元で精力的に活動なさっているんですね。2024/01/27
澤水月
10
山形を中心に聞き集めたメモ「怖気帳(辞書か!な厚さ)」から繰り出される怪談乱れ打ち、匠の筆。何十年も前に複数人で著名な「作家の死」ニュースで聞いた奇譚。「草木塔」など地域独自の話ほか、語り手との(時に危うい)やり取り含め◎。アイドルとファンの闇覗く「推しの奇」などどれも最高で今巻は写真もありボリューミー。読了1231深夜23年読み納め。すぐつけるはずが能登震災〜羽田事故に絡み旅先孤立など恐ろしい事態に遭いメモ遅れ、その体験含め忘れられない1冊に2024/01/06
qoop
8
体験談を語った状況含めてその語り口を紙上に再現する試み。安易に口調そのままを写すのではなく再構成し、臨場感を保ったまま技を加えて文章化する筆の冴え。怪談とはまさに、体験そのものではなく体験者が後から語るその行為のことなのだと改めて思い出させてくれる。著者ならではの一冊だと思う。2024/01/02
ぼっせぃー
6
「めがねのこ」「おまえのせいで」「大峰山にて」「さきだま」「生霊は怖い」「いけにえ」「みずをとめ」「タブレット」「スンがきた」「研修」「ある作家の死」「茶飲まず話」「わがこ」「柱の陰から」「宣誓」「三瀬のムジナ」「バケビシン」「マグロの味」「おもひで」「白いあなたは」「遺言」「屍人坂」「野次馬あるいは出歯亀」「なりきれず」「たのしいおしゃべり」「婚霊」「ぼくらはみんな」「今日の予定」「推しの奇」「よおばし」「翅のゆきさき」。“虫の知らせ”系は陳腐になりがちだが、本書はシンプルながら奥行きのあるものが多い。2024/02/21
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