内容説明
埼玉県警の元事務職員だった荒井尚人は再就職先が決まらず、アルバイトで深夜帯の警備員をする日々を送っていた。実は子供の頃からろうの家族と聴者との間で通訳を担ってきた荒井は、やむをえずその特技を活かして資格を取り、手話通訳士の仕事を始めることにする。荒井にとって手話とは、苦い思い出がつきまとうものだったのだが。そんなある日、警察時代に起きた殺人事件の被害者の息子が殺害される。かつて荒井が手話通訳をした犯人のろう者が、再び被疑者として浮かび上がってくるが……。手話通訳士・荒井尚人の活躍を描く〈デフ・ヴォイス〉シリーズ第一弾を改訂版で贈る。/解説=中江有里
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
タルシル📖ヨムノスキー
25
少し前にこのシリーズの4作目が文庫化されたのを知り手に取ったものの、第1作目を読んだのが3年前ということで、登場人物や諸々の設定など忘れてしまっていた部分が多くあって、これを機に再読を決意。そしてどうせ読むならと新しく出たこの創元推理文庫版を再読することにしました。読みながら改めてこの物語の深さを再認識しました。いわゆる障害者の家族の中で育った唯一の健常者、主人公である荒井の孤独感。多分こんな気持ちを掬い上げた物語は、これまでなかったのではないかと思います。もちろん手話にたくさんの種類があることなども。2025/09/01
のりのり🍳ぽんこつ2𝒏𝒅
17
創元社文庫版として改訂されたので、既読の文春文庫版と比較しながら再読した。こういう読み方をしたのは初めて。主に“聴こえ”に関連する名称について細かくとても丁寧に手が加えられているのが分かった。また、荒井や周りの人との手話のやり取りも、わずかに語尾に変化が見られ、それぞれの言葉尻から受ける印象に僅かな差があるが、もちろん物語そのものには影響は無い。とてもいい手話通訳士を見つけたことに嬉しがる益岡の様子がより分かるシチュエーションに書き換えられているところ等、よりピントが合って場面が見えてくる感じがした。2024/02/17
なま
10
★4.8①【埼玉】②表紙の女児の眼差しからアノ場面だ!とすぐわかる。【味方】の手話③◯新井⑥ミステリ、手話通訳士、家族、バリアフリー/著者は木村晴美氏の著書で「手話には日本手話(非手指表現・と日本語対応手話の2つがある」「先天性の失聴者の多くは誇りをもって自らをろう者と称する(聞こえないが話せないわけじゃ無いという意思表現)」を知る(後書きかより)。ろう者が行政や福祉から抜け落ちる事実、旧優生保護法、聴覚口話法、小説を通しろう者の世界もよくわかる。手話も忠実に表現される。言葉が無い=存在しない訳じゃない2025/07/28
おさと
9
音のない理髪店を読んだばかりだったので、手話とか「ろう」についての新たな知識がまた増えた。まだまだ知らない世界がたくさんある。続きも読みたい。2025/03/07
Kuu
9
暑くて全く本を読む気になれなくて、何ヶ月ぶりかで読了した。ドラマを見て読んでみたが、ドラマよりずっとミステリー色が強かった。文庫本解説の中江有里さんの文章は、なんだかピントがずれている気がした。2024/09/10
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