内容説明
埼玉県警の元事務職員だった荒井尚人は再就職先が決まらず、アルバイトで深夜帯の警備員をする日々を送っていた。実は子供の頃からろうの家族と聴者との間で通訳を担ってきた荒井は、やむをえずその特技を活かして資格を取り、手話通訳士の仕事を始めることにする。荒井にとって手話とは、苦い思い出がつきまとうものだったのだが。そんなある日、警察時代に起きた殺人事件の被害者の息子が殺害される。かつて荒井が手話通訳をした犯人のろう者が、再び被疑者として浮かび上がってくるが……。手話通訳士・荒井尚人の活躍を描く〈デフ・ヴォイス〉シリーズ第一弾を改訂版で贈る。/解説=中江有里
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のりのり🍳ぽんこつ2𝒏𝒅
17
創元社文庫版として改訂されたので、既読の文春文庫版と比較しながら再読した。こういう読み方をしたのは初めて。主に“聴こえ”に関連する名称について細かくとても丁寧に手が加えられているのが分かった。また、荒井や周りの人との手話のやり取りも、わずかに語尾に変化が見られ、それぞれの言葉尻から受ける印象に僅かな差があるが、もちろん物語そのものには影響は無い。とてもいい手話通訳士を見つけたことに嬉しがる益岡の様子がより分かるシチュエーションに書き換えられているところ等、よりピントが合って場面が見えてくる感じがした。2024/02/17
Kuu
9
暑くて全く本を読む気になれなくて、何ヶ月ぶりかで読了した。ドラマを見て読んでみたが、ドラマよりずっとミステリー色が強かった。文庫本解説の中江有里さんの文章は、なんだかピントがずれている気がした。2024/09/10
Madeleine
9
創元推理文庫版が出たので再読。元警官でコーダの荒井さん。中年の不器用なおっちゃんが、手話通訳士として出会う人々に真摯に向き合う姿に惹き込まれる。 過去と現在を繋ぐ事件の真実に、親目線で胸が痛んだ。選んだ道は間違っていたけれど、家族を想う姿に心があたたかくなる。人に勧めたくなる作品。2024/05/22
ゆうたろう
8
日本手話ネイティブでありながらもろう者のコミュニティに完全には属せない主人公の孤独がよく伝わってくる。ろう者の母親が息子を呼ぶ"声"が胸の奥にのこった。2024/04/30
うさぎや
8
1巻。手話は2種類あるというのは初めて知った。2024/02/29