内容説明
その日、僕は出家した、彼女と社会を捨てて――。道元が開いた曹洞宗の本山・永平寺。ひとたび山門を潜れば、そこは娑婆とは別世界。東司(トイレ)にも行鉢(食事)にも厳格な作法がある。新入りは、古参僧侶に罵倒され、規矩を徹底的に叩き込まれる。さらに坐禅に日々打ち込んだ末、30歳の著者が会得したものはなにか? 雲水として修行した一年を描いた体験的ノンフィクション。(解説・柳澤桂子)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
112
少し前に読んだ「フォンターネ」を思い出しました。彼女もいた青年が突如出家して永平寺へ行きます。そこでの1年間の修業をきめ細かに描いたものでこれだけでも読んだ価値がありました。一般的なことはよくわかっているのですが実際に体験している様子はなかなかわかりません。「正法眼蔵」などの文章を引き合いに出しながら毎日の様子がよくわかります。一昨年に高野山に行ったので今年は永平寺に行ってこようと思って読んだのですが、圧倒されました。2024/04/17
kinkin
50
永平寺に行ったことがある。入ったときホテルのロビーのような場所で通訳もいてエレベーターもあった。しかしその陰では本書に書かれているような厳しい修行があることを知った。スタンリー・キューブリック監督の『フルメタル・ジャケット』という映画を思い出した。前半は海兵隊に入隊した新兵に対しての上官のすさまじいしごき。入門するということは、日常から全て切り離しゼロからスタートすること。そして修行が終わり寺を去るときもゼロから日常に立ち向かう。物欲にまみれた現代を気づかされた気がした。 2014/07/26
James Hayashi
38
図書館の人に薦められて。あまり興味をなく読み始めたが、なかなか興味深く面白かった。 30歳で脱サラし出家。記事にする為に体験したのでなく、理由なく思い立ち永平寺へ。 体罰に苦しみながら、ひもじい食事。タンパク質はなく脚気になる者も。出家でなく戸塚ヨットスクールへ入門した感じ。わずか1年の修行とは短い感じが強いが、本人には変え難い経験になったことだろう。徴兵制のない日本に、選択肢の一つとして仏道を修行させるというのはいかがだろう。2019/10/05
kawa
36
曹洞禅の総本山・永平寺での著者1年間の修行を綴る。「食う寝る座る」のタイトルにそぐわない凄まじい修行生活。「こんなひどい世界を生まれてはじめて見た。自分の無能さをいやというほど思い知らされ、人間の醜さをいやというほど見せつけられた ~しかし~ 自分が人間として、人間とともに生きていくことの、とてつもない感動を与えてくれた」。難しい寺の専門用語にはやや苦戦だが、著者の何万分の一かの小さな感動を胸に本を閉じることが出来た。これは読書の幸せ。さらに長いという臨済禅の修行にも興味あり。(砂川・いわた書店で購入)2022/07/09
UK
35
驚嘆した。一見、非人間的とも見える過酷な修行と徹底した日常の作法の順守により、たった1年で人がここまでの見識を得るとは。もう、書き抜きしたい1行の目白押しである。困ったなあ。書き抜きしたって自分の身につかないことは明白だし。といってこんな修行に身を投じることはできないしね。この本の持つ事実に裏付けられたメッセージの重さは時間をかけて 考えてみたい。よくぞ書いてくれました。ご馳走様でした(-人-) 2016/02/19
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