内容説明
政権と世論に翻弄され、闘った「専門家」たちは何に敗れたのか?
小学館ノンフィクション賞大賞受賞の気鋭ライターの弩級ノンフィクション
尾身茂、押谷仁、西浦茂──感染症専門家たちは、コロナ渦3年間、国家の命運を託された。だが彼らは政権に翻弄され、世論に翻弄され、やがては身を引いた。日本にとって、コロナとは何だったのか? 長期取材を経た筆者が、専門家たちの苦闘の本質を描く。なぜ、彼らは消されたのか? 衝撃のドキュメント。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
129
科学と政治ほど相性の悪いものはない。合理的な計算による明確な証明に基づき進めるのが科学なら、非合理の極致である人の心や社会的矛盾を合目的に縫い合わせるのが政治なのだから。コロナのパンデミック下にあって理系独裁者の習近平率いる中国はゼロコロナ政策を貫徹したが、日本では専門家の疾病治療と政治家の経済維持という異なる優先目的が正面衝突した。WHOに勤務し政治もわかる尾身氏が仲立ちしてすり合わせていったが、御用学者しか望まない政治家にとっては忌々しいだけの存在だったのだ。いわばコロナ禍を通してみた政治論といえる。2024/03/13
遥かなる想い
94
コロナの専門家たちの苦闘の日々を描いた作品である。 新型コロナ危機の時、専門家たちは何と戦い、 時の首相たちはどう動いたのか。 あまり知られていない当時の政治の裏側が 克明に語られる。感染が拡大する中、 専門家の提言に対して 時の政権の判断が どうしてこんなに遅かったのか? つい最近の出来事だが、あまり知らなかった舞台裏が 克明に今に蘇る ノンフィクションらしい作品だった。 2025/05/14
おかむら
28
コロナ禍の3年間、専門家たちと政府そして移り気な国民(私含む)の攻防戦ノンフィクション。第何派がいつどんなだったかついこないだだったのにこんなにも記憶があやふやになってる自分にびっくりしたわ…。でも色々思い出した! 尾身さんそういえば総理の会見の時に必ずそばにいたよな(菅さんまでは)。あんなに矢面にたたざるを得なかった経緯を知ったいま表紙をみるとジーンとするわ。コロナ対応の功労者に国がちゃんと報奨している英米と比べて日本はあんまりだというのはもっとも。出てくる専門家の中で私の推しは押谷さんです。2024/04/06
空のかなた
24
世界規模での感染症、コロナにより社会が、常識が、生活が大きく変移した時期。この間に感染防止に関わった各分野の専門家のゆるぎない信念と苦悩の記録。ノンフィクションとして、当事者インタビューも含め、貴重な記録となる一冊。政治家でも官僚でも大臣でもない、感染症に関わる専門家が、その場のお茶を濁したり、自分たちの利権を守ることを第一に考える政治家/官僚/利権団体と対峙した記録。尾身さんを始め報道から受け取った印象とは全く違う、その姿勢に頭が下がった。政治家、未曾有の危機だったのだ、しっかりして欲しい。2024/11/29
しーふぉ
21
元々雑誌からコロナの専門家のことを書いて貰いたいという依頼の性質上しょうがないのかもしれないが、対立軸としてしばしば批判的に書いている政治家についても、きちんと取材して反論させないとノンフィクションとして不完全な印象になってしまった。誰もが未経験の出来事を総括する仕事は必要です。政府が出しているレポートは20枚程度らしいのですが…2024/02/25
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