ちくま新書<br> 世界哲学のすすめ

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ちくま新書
世界哲学のすすめ

  • 著者名:納富信留【著者】
  • 価格 ¥1,100(本体¥1,000)
  • 筑摩書房(2024/01発売)
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  • ISBN:9784480076045

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内容説明

世界哲学とは、西洋中心の「哲学」を根本から組み替え、より普遍的で多元的な哲学の営みを創出する運動である。それは、私たちの生活世界を対象とし、多様な文化や伝統や言語の基盤に立ちつつ、自然環境や生命や宇宙から人類を反省する哲学であり、世界に生きる私たちすべてに共有されるべき普遍性をもった、本来の哲学を再生させる試みでもある。『世界哲学史(全9巻)』の成果を踏まえつつ、より広い視野で世界哲学を本格的に論じ、開かれた知の世界へと読者をいざなう。

目次

I 世界哲学に向けて/第1章 生きた世界哲学/1 世界哲学への誘い/「世界哲学」を論じること/哲学のローカル性と世界性/「哲学」の範囲をめぐって/哲学ではなく宗教?/程度が低い思想?/批判性の欠如?/「西洋哲学以外に哲学なし」という矛盾/哲学の視野拡大/『世界哲学史』の試み/種々の試みの挫折/世界哲学を日本で行う意義/本書が目指すところ/2 世界哲学とは何か/世界哲学──その定義/世界哲学の主体と対象/比較哲学という枠組み/哲学史という枠組み/世界哲学を生きる/第2章 世界を生きる哲学/1 暦/世界を時間と空間から捉える/自然の暦法/キリスト紀元の西暦/仏教の時間把握/円環的な時間把握/暦の間の換算/日本への西暦の導入/世界哲学の時間/2 地図/世界地図を見る/さまざまな地図/地図を作る理由/世界の地図/3 世界という眺望/今、ここの限定を超えて/現世の同時性/人新世という時代/人類と地球の未来/第3章 世界哲学を語る言語/1 翻訳のディレンマ/世界の多言語性/国際学会で使う言語/哲学における翻訳の困難/哲学する言語/世界哲学の言語のディレンマ/2 三世界のリングワ・フランカ/哲学のリングワ・フランカ/ギリシア語からラテン語へ/サンスクリット語とパーリ語のコスモポリス/漢文という共通文語/3 翻訳としての哲学/翻訳可能性再考/翻訳という思考作業/翻訳の哲学/AI自動翻訳の可能性/日本語への哲学の翻訳/第4章 哲学の普遍性/1 哲学のディレンマ/哲学の普遍性という問題/「哲学」のディレンマ/2 普遍性とは何か/「普遍」の語義/アリストテレスの「普遍」定義/第一哲学の普遍性/3 科学の普遍性/自然科学との対比/斉一的世界観/普遍化可能性/科学と哲学の間/進化を踏まえた知性/普遍的倫理を求める進化/II 世界哲学の諸相/第5章 哲学を揺るがすアフリカ哲学/1 排除されたアフリカからの視点/アフリカの哲学?/西洋古典哲学における不在/「アフリカ」とは何か?/失われたアフリカ/「アフリカの哲学/アフリカ的哲学」の諸相/アフリカ哲学の意義/2 ウブントゥの哲学/あえて「アフリカ哲学」を名乗る/理性をめぐる闘争/「ウブントゥ」という言葉/ウブントゥ哲学の広がり/第6章 世界哲学としての現代分析哲学/1 哲学動向としての分析哲学/二〇世紀の代表的哲学/分析哲学と古代ギリシア哲学/2 分析哲学というスタイル/歴史文化のスタイル/発表形式のスタイル/論文スタイル/哲学動向としての特徴/ゲティア問題/プラトンの知識論/3 日本における革新的動向/分析哲学と日本、日本語/大森荘蔵による分析哲学の導入/黒田亘の分析哲学/ギリシア哲学と分析哲学の交わり/黒田亘と井上忠の議論/アリストテレス解釈の刷新/4 分析哲学という未来/分析哲学の隘路/未来を志向する/第7章 東アジア哲学への視座/1 「東洋哲学」の試みと挫折/『世界哲学史』の不均衡/「西洋哲学/東洋哲学」の対比/井筒俊彦の「東洋」理念/「東洋/西洋」の対比を超えて/2 東アジア哲学史の構築/東アジアの言語共同体/東アジア哲学史という視野/東アジア哲学史の枠組み/東アジア哲学史の意義/3 日本哲学の位置づけ/「中国思想」か「中国哲学」か/「日本哲学」という呼称/東アジア哲学史の中の日本哲学/第8章 世界哲学をつくる邂逅と対決/1 インドとギリシアの出会い/邂逅と対決/枢軸としてのギリシアとインド/異なる伝統の交流/ギリシア人が得たインド情報/ソクラテスとインド哲学者の対話?/アレクサンドロス大王と哲学者たち/大王とインド哲学者との対話/オネシクリトスと裸の哲学者たち/マンダニスの哲学/2 ミリンダ王の問い/奇妙な外典/インド対ギリシア/『ミリンダ王の問い』の原型/メナンドロス一世とその哲学的背景/二人の対話の性格/魂の実在の否定/新奇な言葉遣いの意図/ギリシア哲学の前提を揺るがす/3 二〇世紀日本の関心/『ミリンダ王の問い』への注目/日本での紹介/欧米での紹介状況/和辻哲郎のギリシア体験/日本に到達したギリシア?/西洋哲学と日本哲学の分岐点/III 世界哲学の構想/第9章 ギリシア哲学という基盤/1 古代ギリシアの見直し/起源としてのギリシア哲学/古代ギリシア哲学の継承/言論の自由/話し言葉と書き言葉/2 フィロソフィアーの特殊性/古代ギリシア哲学の豊かさと可能性/観想と実践/観想に基づく哲学/統一的な総合知/アゴーンの精神/問答と哲学論争/争いを通じた批判/反対と媒介/神と人間/類比の思考/宇宙と人間の類比/人間のモデルを提示する/中国哲学が提示する「人間」/3 ギリシア哲学を超える普遍性/ギリシア哲学との対決/三つの戦略とその限界/哲学の普遍性を求めて/終章 対話と挑戦としての世界哲学/対話と哲学/対話のぶつかり合い/世界哲学を語る暴力?/反哲学からの哲学/あとがき/人名索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さとうしん

14
『世界哲学史』シリーズの補編というかダイジェスト的なものというか今後の展望的な内容。哲学そのものというより哲学研究を取り巻く現状の話が中心。話題が多岐に渡るが、翻訳のディレンマの話、アフリカ哲学の位置づけの問題、ギリシア哲学と印度哲学との邂逅の話を面白く読んだ。2024/02/28

sk

5
世界哲学というメタ哲学。重厚。2024/05/22

takao

2
ふむ2024/05/15

Go Extreme

2
生きた世界哲学;哲学のローカル性と世界性 哲学or宗教 哲学or思想 西洋哲学以外に哲学なしという矛盾 比較哲学 世界を生きる哲学:自然の暦法 キリスト紀元の西暦 仏教の時間は空く 円環的な時間は空く 地図 現世の同時性 人新世  世界哲学を語る言語:翻訳のディレンマ 3世界のリングワ・フランカ 哲学の普遍性:自然科学との対比 普遍化可能性 進化 普遍的倫理 アフリカ哲学ウブントゥの哲学 現代分析哲学:プラトンの知識論 東アジア哲学;言語共同体 邂逅と対決:ミリンダ王の問い ギリシア哲学 対話と挑戦2024/02/08

トリミダス

1
プラトンを学ぶということはプラトンの世界観を学ぶということではなく、その世界観を得たと思っている自分にフォーカスしながら彼の対話篇に自らを曝す営みである。というのがひとつの読みとして仮定できるなら、納富の示す世界哲学という構想が彼の活動の初めから内在していたというのは間違ってはいないだろう。読者は一読して或いはその広汎な思想の海にたゆたうことを躊躇するかもしれない。その躊躇をむしろ守るべきものと思うかもしれない。しかし私は著者の目論見にそのしこりを解きほぐす学者としての切実な使命感を強く感じた。2024/04/25

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