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内容説明
世界哲学とは、西洋中心の「哲学」を根本から組み替え、より普遍的で多元的な哲学の営みを創出する運動である。それは、私たちの生活世界を対象とし、多様な文化や伝統や言語の基盤に立ちつつ、自然環境や生命や宇宙から人類を反省する哲学であり、世界に生きる私たちすべてに共有されるべき普遍性をもった、本来の哲学を再生させる試みでもある。『世界哲学史(全9巻)』の成果を踏まえつつ、より広い視野で世界哲学を本格的に論じ、開かれた知の世界へと読者をいざなう。
目次
I 世界哲学に向けて/第1章 生きた世界哲学/1 世界哲学への誘い/「世界哲学」を論じること/哲学のローカル性と世界性/「哲学」の範囲をめぐって/哲学ではなく宗教?/程度が低い思想?/批判性の欠如?/「西洋哲学以外に哲学なし」という矛盾/哲学の視野拡大/『世界哲学史』の試み/種々の試みの挫折/世界哲学を日本で行う意義/本書が目指すところ/2 世界哲学とは何か/世界哲学──その定義/世界哲学の主体と対象/比較哲学という枠組み/哲学史という枠組み/世界哲学を生きる/第2章 世界を生きる哲学/1 暦/世界を時間と空間から捉える/自然の暦法/キリスト紀元の西暦/仏教の時間把握/円環的な時間把握/暦の間の換算/日本への西暦の導入/世界哲学の時間/2 地図/世界地図を見る/さまざまな地図/地図を作る理由/世界の地図/3 世界という眺望/今、ここの限定を超えて/現世の同時性/人新世という時代/人類と地球の未来/第3章 世界哲学を語る言語/1 翻訳のディレンマ/世界の多言語性/国際学会で使う言語/哲学における翻訳の困難/哲学する言語/世界哲学の言語のディレンマ/2 三世界のリングワ・フランカ/哲学のリングワ・フランカ/ギリシア語からラテン語へ/サンスクリット語とパーリ語のコスモポリス/漢文という共通文語/3 翻訳としての哲学/翻訳可能性再考/翻訳という思考作業/翻訳の哲学/AI自動翻訳の可能性/日本語への哲学の翻訳/第4章 哲学の普遍性/1 哲学のディレンマ/哲学の普遍性という問題/「哲学」のディレンマ/2 普遍性とは何か/「普遍」の語義/アリストテレスの「普遍」定義/第一哲学の普遍性/3 科学の普遍性/自然科学との対比/斉一的世界観/普遍化可能性/科学と哲学の間/進化を踏まえた知性/普遍的倫理を求める進化/II 世界哲学の諸相/第5章 哲学を揺るがすアフリカ哲学/1 排除されたアフリカからの視点/アフリカの哲学?/西洋古典哲学における不在/「アフリカ」とは何か?/失われたアフリカ/「アフリカの哲学/アフリカ的哲学」の諸相/アフリカ哲学の意義/2 ウブントゥの哲学/あえて「アフリカ哲学」を名乗る/理性をめぐる闘争/「ウブントゥ」という言葉/ウブントゥ哲学の広がり/第6章 世界哲学としての現代分析哲学/1 哲学動向としての分析哲学/二〇世紀の代表的哲学/分析哲学と古代ギリシア哲学/2 分析哲学というスタイル/歴史文化のスタイル/発表形式のスタイル/論文スタイル/哲学動向としての特徴/ゲティア問題/プラトンの知識論/3 日本における革新的動向/分析哲学と日本、日本語/大森荘蔵による分析哲学の導入/黒田亘の分析哲学/ギリシア哲学と分析哲学の交わり/黒田亘と井上忠の議論/アリストテレス解釈の刷新/4 分析哲学という未来/分析哲学の隘路/未来を志向する/第7章 東アジア哲学への視座/1 「東洋哲学」の試みと挫折/『世界哲学史』の不均衡/「西洋哲学/東洋哲学」の対比/井筒俊彦の「東洋」理念/「東洋/西洋」の対比を超えて/2 東アジア哲学史の構築/東アジアの言語共同体/東アジア哲学史という視野/東アジア哲学史の枠組み/東アジア哲学史の意義/3 日本哲学の位置づけ/「中国思想」か「中国哲学」か/「日本哲学」という呼称/東アジア哲学史の中の日本哲学/第8章 世界哲学をつくる邂逅と対決/1 インドとギリシアの出会い/邂逅と対決/枢軸としてのギリシアとインド/異なる伝統の交流/ギリシア人が得たインド情報/ソクラテスとインド哲学者の対話?/アレクサンドロス大王と哲学者たち/大王とインド哲学者との対話/オネシクリトスと裸の哲学者たち/マンダニスの哲学/2 ミリンダ王の問い/奇妙な外典/インド対ギリシア/『ミリンダ王の問い』の原型/メナンドロス一世とその哲学的背景/二人の対話の性格/魂の実在の否定/新奇な言葉遣いの意図/ギリシア哲学の前提を揺るがす/3 二〇世紀日本の関心/『ミリンダ王の問い』への注目/日本での紹介/欧米での紹介状況/和辻哲郎のギリシア体験/日本に到達したギリシア?/西洋哲学と日本哲学の分岐点/III 世界哲学の構想/第9章 ギリシア哲学という基盤/1 古代ギリシアの見直し/起源としてのギリシア哲学/古代ギリシア哲学の継承/言論の自由/話し言葉と書き言葉/2 フィロソフィアーの特殊性/古代ギリシア哲学の豊かさと可能性/観想と実践/観想に基づく哲学/統一的な総合知/アゴーンの精神/問答と哲学論争/争いを通じた批判/反対と媒介/神と人間/類比の思考/宇宙と人間の類比/人間のモデルを提示する/中国哲学が提示する「人間」/3 ギリシア哲学を超える普遍性/ギリシア哲学との対決/三つの戦略とその限界/哲学の普遍性を求めて/終章 対話と挑戦としての世界哲学/対話と哲学/対話のぶつかり合い/世界哲学を語る暴力?/反哲学からの哲学/あとがき/人名索引
感想・レビュー
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さとうしん
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takao
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