内容説明
『悼む人』『永遠の仔』の著者が贈る、ノンストップ・クライムサスペンス。
誰もが容疑者。誰もが当事者。
性にまつわる犯罪……ジェンダー・クライムは連鎖する。
土手下に転がされていた男性の遺体。
暴行の痕が残る体には、メッセージが残されていた。
「目には目を」
なんと男の息子は、3年前に起きた集団レイプ事件の加害者だった――。
次々現れる容疑者、そして新たな殺人。
罪を償うべきは、あなたかもしれない。
天童荒太の原点回帰にして、記念碑的作品!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
342
天童 荒太は、ほとんどの作品を読んでいる作家です。著者の久々の新作は、ジェンダーをテーマにした骨太の社会派ミステリ、序盤かなりエンタメに寄ったのかなと思いつつ、最期は著者ならではの家族ドラマでした。「目には目を」悪質なレイプ魔等は、懲役刑ではなく、宮刑(きゅうけい、castration;去勢する刑罰)で宜しいかと。少し気が早いですが、本書は2024年のBEST20候補です。 https://books.bunshun.jp/ud/book/num/97841639179482024/01/24
fwhd8325
217
天童さんの作品は初期の頃はよく読んでいました。この作品も天童さんらしい徹底した作品のように感じました。でも、何か違和感を感じながら読み進めていました。何か今までと私の中に入ってくる感覚が違いました。それでも、正面からテーマに揺らぐことのないスタイルは流石だなと感じます。2024/05/19
hirokun
204
星5 天童さんの作品を読むのは久しぶり。あとがきの部分を読むと、いろいろの想いがあって取り組まれた作品のようだが、警察小説としても十分楽しめた。作品中での指摘事項について、昔からの習慣が抜けきれない私にとっては、いろいろ参考になることが多かった。今回の作品は今までの天童さんとは少し色合いが違う作品のように感じた。2024/02/07
ムーミン
203
最後はこうきましたか。うるっときてしまいました。2024/04/03
いつでも母さん
190
物心ついた時には既にジェンダー下に置かれていた私(昭和ど真ん中)家庭でも社会でも、それは日常で沢山の思いを飲み込んで来たのだ。少しづつ【ジェンダー】が市民権を得てきたとは言え、まだまだ日本は遅れている現状が歯がゆい。天童作品はいつも痛みやジレンマ、赦しや悲哀を衝いて重く響くのが好きだ。今作もメッセージ性が強く、天童さんらしくて良かったが、旧態依然の考え方が沁みついている人には苦々しいかもしれない。警察小説としても面白く読んだ私は、既に配偶者の事は「夫」と言い慣れています(笑)2024/02/18