新自由主義の時代の在日コリアン - オールドカマー移民の分極化と交差性

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新自由主義の時代の在日コリアン - オールドカマー移民の分極化と交差性

  • 著者名:鄭康烈
  • 価格 ¥3,740(本体¥3,400)
  • 青弓社(2023/12発売)
  • ポイント 34pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784787235312

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内容説明

自己責任や競争を推し進める新自由主義の時代にあって、在日コリアンはどのように自身の人生を選択し、この社会に「適応」しようとしているのか。また、在日コリアン内部での格差は、どのように生起しているのだろうか。

在日コリアン社会へのフィールドワークを通じて得たライフコースに関する語りの分析から、現代の在日コリアンがエリート層、あるいはアンダークラスへと分極化していくプロセスを丹念に描き出す。それと同時に、拡大した格差が在日コリアンのコミュニティ内部に葛藤を生じさせる事態にも迫る。

新自由主義の原理で満たされた現代を生きる在日コリアンの経験を、人種やエスニシティ、ジェンダー、階級などの複数の要因の絡み合いを想定する「交差性」の視角から読み解き、移民としての背景をもつエスニック集団が直面する複雑化し細分化した社会的不平等の実相を浮き彫りにする。

目次

まえがき

序 章 移民をとりまく社会的不平等をどのように捉えるか
 1 問題の所在
 2 本書のねらい
 3 本書の構成

第1章 在日コリアンをとりまく社会的不平等をめぐる二つの問い
 1 先行研究
 2 現代の在日コリアンをめぐる二つの問い
 3 分析の視角と枠組み
 4 研究方法と調査概要

第1部 「移民」としての現代の在日コリアンを捉える

第2章 在日コリアンという移民集団
 1 移住の背景と集団形成
 2 シティズンシップ
 3 エスニック・コミュニティ
 4 文化とアイデンティティ
 5 在日コリアンと交差性

第3章 日本の新自由主義の歴史的展開とその帰結
 1 新自由主義とはなにか
 2 日本での新自由主義の展開
 3 新自由主義の帰結

第2部 在日コリアンの分極化メカニズム

第4章 「新たなエリート層」としての在日コリアンにみる経済的同化――階級・ジェンダー的優位による「上昇同化」の達成
 1 在日コリアンの経済的同化
 2 ブリッジ人材化する在日コリアン
 3 経済的同化のメカニズム
 4 交差性による新たなカテゴリーの創出

第5章 在日コリアンのアンダークラス化――抑圧の交差による選択肢の「反復的・重層的剥奪」
 1 不安定就労層としての在日コリアン
 2 職業選択肢の画定と制約
 3 複数の被抑圧カテゴリーを背負う在日コリアン
 4 アンダークラス化のメカニズム

第3部 エスニックな社会的不平等是正の深部を探る

第6章 朝鮮学校コミュニティでの階級的分断軸の顕在化――移民の「能動的」適応と新自由主義によるエスニックな結合の侵蝕
 1 在日コリアンのエスニック・コミュニティと民族経済
 2 民族経済化の現代的実相
 3 経済的同化の流れと新たな適応戦略
 4 エスニック・コミュニティ内部の変化

第7章 次世代への就職キャリア支援の意図せざる帰結――「新たなエリート層」による新自由主義社会への適応技法の伝承
 1 在日コリアンと就職差別
 2 在日プロジェクトの実践
 3 届かないエンパワーメントの試み――イベント参加者の声から

終 章 移民をとりまく社会的不平等を問い直す
 1 本研究の課題
 2 本研究で得られた知見
 3 本研究の意義
 4 新自由主義の時代の在日コリアン
 5 社会的不平等の是正に向けて
 6 本研究の限界と残された課題

補 論 曖昧化する境界――一九七〇年代以降の日本企業への在日コリアンの「包摂」
 1 日本企業の門戸はどのように開かれたのか
 2 就職差別反対の諸運動とマイノリティ労働力の送り込み
 3 日本企業の国際化と在日コリアンの発見

付録1●調査対象者の特徴
付録2●インタビュー調査で用いた質問紙

あとがき

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