内容説明
夏の終わりのある日、高校に迷い込んだ一匹の白い子犬。生徒の名にちなんで「コーシロー」と名付けられ、その後、ともに学校生活を送ってゆく。初年度に卒業していった、ある優しい少女の面影をずっと胸に秘めながら……。昭和から平成、そして令和へと続く時代を背景に、コーシローが見つめ続けた18歳の友情や恋、逡巡や決意をみずみずしく描く。2021年本屋大賞第3位に輝いた、世代を超えて普遍的な共感を呼ぶ青春小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
563
「犬」ということで泣かせる作品かと思えば、主題は高校生活と卒業を縦糸、そして昭和・平成・令和の世相を横糸に織り込んだようなものだった。ときおり入る犬目線が、著者さんのエスプリか。卒業と旅立ち、昭和・平成のそれぞれの節目となるできごとにわが身を重ねて読み進めるのも愉しい作品だった。2025/10/16
昼寝ねこ
158
三重県の進学校で飼われていた犬の実話をベースにした物語。起点となる優花と光司郎の物語から、この犬のコーシローと関わった代々の生徒たちの切ない青春物語が繋がっていく。切なくはあるがすべての物語に希望がある。物語の大きなテーマが希望なのだ。生徒たちが希望を持って卒業していき、大人になって母校に集結するエンディングに泣けた。もちろん卒業生全員が成功するわけじゃないけど全ての人が幸せであれと願いたい。ラストに優花と光司郎の物語が成就する。『本当に、本当に、好きだったんだ』高校生の光司郎の思いが甦ってきた。2025/08/19
まさきち
158
四日市の伝統校・八稜高校。そこに運び込まれた一匹の捨て犬は一人の生徒の名前からコーシローと名付けられ、ここで暮らすこととなる。そんな彼を世話する生徒たちの苦悩や時に切なく、時に希望を与えてくれる一年を集めた一冊で、どの話も本当に素敵で応援したくなるものでした。特に一話目から続いた優花と光司郎の関係の結末には頬を緩めずにはいられませんでした。そして各話の冒頭でのコーシローの語り、いい味添えてました。2025/04/15
ユー
100
昭和の時代に、近鉄電車から見える、あの高校にはコーシローという名の犬が居たのですね。卒業アルバムにも載っていたというから10年以上に亘って学校の一員。過ぎ去りし日々、呼び戻される日々、新たな日々、全てがコーシロー基準で繋がっている事への感動。2024/04/03
エドワード
96
四日市の八稜高校に子犬が迷い込む。生徒たちが校長に申し出て飼育を始める。コーシローと名づけられた犬を通して描く、1989年から2019年までの物語。第1話「めぐる潮の音」が断然胸キュン、美大志望の早瀬光司郎と英語を勉強する塩見優花、お互いの気持ちがわからない青春の息吹、いいなあ!F1グランプリ、阪神淡路大震災、バンドブーム、時代は進んでも、高校生の青春は変わらない。優れた嗅覚で恋心がわかるコーシローだけど、視覚が弱い。「ユウカさんの花の色が見たかった」2001年に世を去る。付録の絵に思わず涙腺崩壊の傑作。2024/01/27
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