内容説明
前作『魔法飛行』で生涯最大の冒険を経験した入江駒子は、その余波で風邪をひきクリスマスを寝て過ごすことに。けれど日頃の精進ゆえか間もなく軽快し、買い物に出かけた大晦日のデパートで思いがけない人と再会を果たす。勢いで「読んでいただきたい手紙があるんです」と告げる駒子。十数通の手紙に秘められた謎、そして書かれなかった“ある物語”とは? 手紙をめぐる《不思議》にラブストーリーの彩りが花を添える連作長編ミステリ。伸びやかなデビュー作『ななつのこ』に始まる、駒子シリーズ第三作。/解説=光原百合
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
183
『僕が言いたかったのは、手紙というものは必ずしも事実のすべてを伝えはしないってことさ』。駒子シリーズ第三作として今から20年も前に刊行されたこの作品。そこには二つの短編がセットで魅せる物語の姿がありました。〈スペース〉に描かれる手紙が読書に曲者なこの作品。〈スペース〉にただひたすらに記述されていた手紙の背景事情が〈バックスペース〉で鮮やかに解き明かされていく二つで一つのこの作品。いつか集中力を切らさずに再読したいと思うものの恐らく手にすることはないかなとも思う、私にとって苦い読書の時間となった作品でした。2024/10/29
hiro
155
加納さんのデビュー作『ななつのこ』が面白くて、『魔法飛行』を読んだが少しがっかりだった。しかし、読メの中で薦められてシリーズ3作目も読むことにした。『スペース』は書簡体小説のためもあってか、あまり面白みを感じず惰性で読んでいて、まったく叙述トリックに気付かなかった。完敗でしたw 一方、『バック・スペース』は、シリーズのスピンオフ作品として、外から駒子と瀬尾が見れて、これはこれで面白かった。でもやはり、読者として期待するのは、駒子の周りでおこる謎を瀬尾が解くというシリーズの王道をいくシリーズ完結編だと思う。2012/10/19
kishikan
144
短大生駒子さんシリーズ3作目。「ななつのこ」「魔法飛行」の圧倒的構成力と巧みな文章に心惹かれ読み続けてきました。主人公駒子さんの生活を通した乙女心の揺れ、そして文通相手の瀬尾さんの謎解きなど、加納さんは2作共異なる構成で楽ませてくれました。しかし驚くなかれ、「スペース」はまたまた異なる構成。今回は、駒子さんも瀬尾さんも裏方に回り(途中までは駒子さんは?って思わせます)、表舞台は駒子さんのお友達。ラストは、心のよりどころ(スペース)を探り当てる、愛と感動に溢れる美しい物語です。前2作を凌ぐ出来、素晴らしい!2012/02/20
ダイ@2019.11.2~一時休止
136
駒子その3。ひとつの物語の表と裏って感じの2編。怪しい手紙はうまくまとまったが、ハヤミの解釈はそれであってるの?2014/09/17
ユメ
135
対のような表裏のような二つのラブストーリー。二篇の繋がりがまた美しいミステリーになっている。自分が空っぽな人間なんじゃないかという焦りが私にもある。でもそれが、わざわざバックスペースキーを打って作り出した、これから未知のもので埋めていくスペースだとしたら?謎解きはもちろんのこと、そんな答えをそっと差し出してくれるから、このシリーズが好きだ。駒子と瀬尾さんが素直に羨ましい。実際のところ涙は流していないのに、思い切り泣いた後のように心地良い清涼感と安堵感のある三冊目だった。四冊目、いつになっても待っています。2015/06/05
-
- 電子書籍
- 教育虐待29 Vコミ
-
- 電子書籍
- 転生したら殺人犯の娘だった6 Vコミ
-
- 電子書籍
- 乙女ゲーム六周目、オートモードが切れま…
-
- 電子書籍
- 江戸前の旬~旬と大吾~ 3
-
- DVD
- WILD HOGS/団塊ボーイズ