ちくま文庫<br> 虐殺のスイッチ ――一人すら殺せない人が、なぜ多くの人を殺せるのか?

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ちくま文庫
虐殺のスイッチ ――一人すら殺せない人が、なぜ多くの人を殺せるのか?

  • 著者名:森達也【著者】
  • 価格 ¥825(本体¥750)
  • 筑摩書房(2023/12発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 210pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480438812

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内容説明

ナチスのホロコースト、クメール・ルージュの大量殺戮、関東大震災の朝鮮人虐殺、インドネシア政権による虐殺、ルワンダ・フツ族のツチ族虐殺……、歴史を、世界を見渡すと、虐殺事件は繰り返し起き、あふれている。なぜごく普通の善良な市民が、同じように普通の人をいとも簡単に殺すのか、しかも大量に。キーになるのは、集団と同調圧力。集団が熱狂し変異して起きる虐殺のメカニズムを考える。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

130
善良な個々人が不満や怒りや苦痛のため集団化すると、その集団の敵への加害を恐れなくなる。オウムや福田村の人びとも、ポルポト派やナチス強制収容所の看守も善良であったが、ある集団に属するとその意思を過剰に忖度して大量虐殺に走るスイッチが入ってしまうのだ。そんな歴史を繰り返す人類に果たして自由意思はあるのか、正義はあるのかと自問自答せざるを得ない。様々な虐殺現場を巡った末に著者は、誰もが殺したり殺されたりはもう嫌だと確信しなければならないと提言する。正論だが集団の中で主張できるほど強くない人はどうすればよいのか。2024/04/21

rico

73
「心やさしく善良な人がなぜ人を殺せるのか?」オウム信者と向かい合い、「福田村」を撮った森さんが問い続ける。カンボジア、アウシュビッツ、ルワンダ、文革、関東大震災。何らかの理由で集団を形成し、「そうじゃない人」を区別しディスる。ここからは、自分たちを守るため・大いなる目的のために、排除すなわち抹殺して良しとなるまで一直線。たどりついた結論はだいたいこんな感じ。腑に落ちるが救いがない。だからこそ、人がそういう存在であるという現実を認めることから始めるしかない。でも、それができる強さを人は持っているのだろうか。2023/12/12

里愛乍

72
「なぜ人を殺してはいけないのか」との問いに「人を殺してはいけない」と知っているではないか。その問い、それこそが答えだと池田某氏は言っていたが、それでも人は人を殺す。集団化と同調圧力の怖さについてはいろんな小説や本で知ってきたが、本書ではそれが虐殺に繋がるスイッチは何なのかを探り続ける。集団における相変異への刺激は不安と恐怖、社会の中でしか生きていけない人類の危うい危険性。それらを踏まえた上で自覚せよ、意識せよ。常に己に刻みつけておきたいと思う。2024/04/08

踊る猫

44
違うだろう。「一人すら殺せない人」は集団になることによって「多くの人を殺せる」主体へと変貌する。少なくともぼくはこの本をそのように読む……とはいえ、凡庸な「集団ヒステリーの恐怖を語った本」と早合点せずにぜひこの本に誘われてほしいとも思う。森の作品(『A』くらいしか観たことないのだけれど)ににじみ出るユーモアと真面目さはこの本でも臭みを感じさせずきわめて上品に(とはいえ、どこか野暮ったさをも醸し出しつつ)漂う。そこから倫理・哲学的な問いや歴史を学ぶ作法、あるいは自力で考え抜く知恵や作法を体得することができる2023/12/13

ケイトKATE

35
映画『福田村事件』やインタヴューでの発言から森達也に関心を持った。森達也は、ホロコーストをはじめとする虐殺はなぜ起きたのか考察している。虐殺をおこなった人間は普通の善良な市民であった。しかし、集団化すると人間は「個」を失い、一人称単数の「私」ではなく「我々」を語るようになる。そして、集団の中で異物のような存在を人間として認めず排除する。森達也は、虐殺のメカニズムを説明しているが、簡単には説明はしていない。常に悩み自問自答しながら考えている。簡単に答えを求める現代において、森達也は信頼できる知識人である。2023/11/05

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