内容説明
「歴史学とはどのような学問か」「歴史学はいかにして正しい結論を導き出せるのか」という問題は、現在でも常に問い直され続けている。本書では、19世紀における歴史学の進展を踏まえ、歴史学の方法論にはじまって、諸学との連携の在り方、史料批判についてなど、簡潔にして要点をついた紹介・指摘を行う。提示される方法論の実例としては、塩尻峠の合戦(天文17年)を取り上げ、各種資料を比較して事実を確定するプロセスを具体的に示した。また、本書の史学史的背景について周到な解説を付す。古典的歴史学方法論の貴重な入門書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ex libris 毒餃子
13
歴史学を経験科学と定義して、徹底した史料批判を通じて科学性を担保するのが歴史学の方法論とする本。史料も細かくカテゴライズされているので、歴史学を志す人は是非、歴史学の正統性を何に由来させるかを自問自答してほしい。あと、ベルンハイム読まないと。2023/06/16
さとうしん
12
「太平記は史学に益なし」というわけではなく、太平記のような文献も陳述的史料以外の用途では有用という議論は誠に以てその通りと言うほかない(この発想をわからない人は今もって多いが)。ただ、今となっては全体の4分の1ほどを占める松沢裕作氏の解説の方が有用かもしれない。2023/06/20
yokkoishotaro
0
その名の通り、歴史学の方法論である。とても良いバイブルだった。これを参考に研究を進めたい。2024/11/30