内容説明
差別の現れ方、正当化する言説は時代とともに変わっていく。
例えば、部落差別はかつての結婚・就職ではなく、その土地に住むことに対する忌避が強く現れる。
また、昨今は「社会的弱者であることをふりかざし、福祉に甘えている。逆差別だ」などという偏向した言説も目立つ。
こうした差別の変容はなぜ、どのように起きるのか。
現代的レイシズムを基点に、差別「される側」ではなく「する側」の構造をあきらかにする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
venturingbeyond
33
昨年度、地元で講演をお聞きした阿久澤先生の単著が出たということで購入。帯にある通り『差別は「される側」ではなく「する側」の問題』との大原則に基づき、近年のアメリカにおけるレイシズム研究のフレームを用いて、現代における部落差別の継続と変容を分析・考察した一冊。古典的レイシズムから現代的レイシズム(制度的~、文化的~、象徴的~、カラーブラインド~、回避的~...)への変容は、かなりの部分で現代の部落差別に適用可能であり、近年の部落差別を巡る言説状況がクリアに説明されている。2024/02/16
ドラマチックガス
17
差別は常にする側の問題である、ということを明記し、差別する側の「差別の理論」がどう変わったかを丁寧に探る。特に最後のまとめはとてもよい。差別問題で統計を使うのはとても難しく、例えば差別意識を持っていない人が99%、持っている人が1%だったとして、めでたしめでたしとなるか、ということ。この「1%」って恐怖でしかないよということをはっきり言ってくれている。一方でツイッター分析や因子分析なんかは少し危うさというか、自信のなさが出てしまっているように思う。そこだけが少し残念。わかりやすい、名著。2025/08/31
ruki5894
15
差別は差別する人がいるから起こるのだ。だから差別する側の人を研究していけば差別はなくなるのではないか。という視点で書かれている。部落差別問題については確かにそうかもしれない。かなり詳しく書かれていてわかりやすい。差別は差別を受けたと言う人がいる時にも起こる。差別的発言もそれが多い。認知の違い。認知度を深めることで社会の成熟度が増していく。いつの日か部落差別はなくなるのか。人がいるところにまた別の差別が生まれるような気もするが。少しずつではあるが日本は良くなっているというのは楽観的過ぎるか…。2023/11/25
どら猫さとっち
12
人は何故差別をするのか。近年もヘイトスピーチやクライムが蔓延し、最近では参政党が日本人ファーストを掲げ、排外主義と批判された。人間が差別するということの謎。本書には、「差別する人(側)の研究」を過去のデータをもとに検証、その心理を解き明かす。もはや、現在のレイシズムは歯止めが利かなくなった。参政党の排外的政策によって、さらに暴走しかねない。そうならないための処方箋が、ここにある。2025/07/27
てくてく
7
”差別は「する人(側)」の恣意であるから、勝手に作り変えられる。差別の現れ方も、それを正当化する理由や言説も、「する人(側)」によって、時代とともに変容させられてきた。” ”差別を助長・誘発・扇動する言葉や情報は、ソーシャルメディアを介して一瞬のうちに拡散し、さらにネット空間で増殖を繰り返す。そこで、時間の経過と共にさらに多くの人の目に触れることになり、被害者の受けるダメージは大きくなり、差別「する人(側)」の影響力は増大する。”というプロローグの指摘は確かにそうだよなと思った。2026/02/14
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