内容説明
駆け落ち、心中、不義密通……。“お夏清十郎”や“八百屋お七”など、当時起こった実際の事件をもとに西鶴が創り上げた極上のエンターテインメント小説五作品。鋭い人間観察が可能にした性愛と「義」をめぐる物語から、はかない今を恋に賭ける五人の女たちのリアルが浮かび上がる。噺家の語りを駆使した、臨場感あふれる迫力満載の新訳。恋の悲劇と喜劇が交錯する度肝を抜く面白さです。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
49
面白かったです。実際の事件をベールに創り上げられたエンタメですね。性と義をめぐる中で恋に命をかける5人の女性のリアルが浮かんでくるようでした。ちょっとセクシーな古典を読んでいる気分です。2024/02/12
巨峰
39
恋の話である。命がけの恋の話が5話。恋とは執着とは本来そのようなものか?しかし、江戸時代の恋が全てそうだとは思わない。むしろ、例外だからこそ、人の口にのぼり、物語として語られたのだ。さて、この5話、それぞれ短い話だけど、一筋縄の話ではなく2転3転する。大きな読書の喜びを感じるものとなっています…2024/10/20
qwer0987
16
『八百屋お七』で有名な『恋草束ねた八百屋物語』だが、私が知っている話と微妙な違いがあって面白い。お七や吉三郎は双方とも切羽詰まった恋愛感情を持っていたことがわかって目を引くし、有名な火付けの下りも実にあっさりしていて驚き、処刑の従容と死に赴く堂々とした姿は忘れがたい。本作の白眉であろう。その他で心に残るのは『吉凶占う暦屋物語』のおさんか。向田邦子の解釈と相まっておさんの不倫に突き進まざるを得ない心情に思いを致した。2024/04/07
ほんままこと
14
書店で見つけた光文社新訳文庫、原作未読なので読む。17世紀後半の江戸時代、女性が起こした身の破滅に至るスキャンダラスな五事件が記される。この時代に恋とは、ロマンティックラブではなく、ずばり性愛そのもので、男色も当たり前のこととして描かれる。その人間性と時代の封建性との衝突、西鶴はどのくらい意識していたのか解らないが、それがこの作品を普遍的なものにしたのだろう。細部がとても面白かった。たとえば七月の「井戸さらい」で引き上げられるガラクタの描写、八百屋お七が火事で避難する寺の雑魚寝などは今と比較して面白い。 2025/02/20
真琴
12
お夏清十郎、樽屋おせん、おさん茂右衛門、八百屋お七、おまん源五兵衛の5作からなる『好色五人女』の現代語訳。訳者が「好奇心旺盛で情にあついおじさん」を語り手に設定しており、それを脳内再生しながら読んだ。どの時代も恋は盲目で、思い人のために生きる女の生き様には脱帽。その人生は儚く散るけれども。2024/01/15
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